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データセンター用直流給電(DC12V)システム:標準技術仕様書作成と試作・動作検証 INTEROP東京2014にて試作システムを展示研究成果

データセンター用直流給電(DC12V)システム:標準技術仕様書作成と試作・動作検証
INTEROP東京2014にて試作システムを展示

平成26年6月9日

東京大学大学院情報理工学研究科

 

1.発表者: 江崎 浩(東京大学大学院情報理工学研究科創造情報学専攻 教授)

 

2.発表のポイント: 
・データセンター内のICT機器に対する直流給電方式の標準技術仕様書ドラフト版を、新規に作成し、プロトタイプの試作とその動作検証・評価を行いました。
・動作検証・評価の結果、通常動作において問題なく利用可能であることがわかりました。
・大量の電力を消費するデータセンターにおける 消費エネルギーの削減のため、今回の仕様によって、より容易に直流給電方式の導入が行えるようになることが期待されます。

 

3.発表概要: 
データセンターは、社会・産業活動を支える最重要インフラの一つですが、莫大な電力がIT機器および冷却機器で消費されているため、データセンターの能力を保持しつつ電力消費を削減する技術の開発が急務となっています。この解決策として、データセンター内の配電を直流化することによって交流から直流への変換損失を減少させる直流給電方式が注目されていますが、データセンターでは、直流対応ICT機器の機種が少ないという問題があり、直流給電方式はこれまでに普及していませんでした。
東京大学の東大グリーンICTプロジェクト(代表:東京大学大学院情報理工学系研究科 創造情報学専攻 教授 江崎 浩、以下GUTP、注1)は、特定非営利活動法人ASP・SaaS・クラウド コンソーシアム(会長:河合 輝欣、注2)および特定非営利活動法人日本データセンター協会(理事長:白川 功、注3)と協調連携し、データセンター内のICT機器に対する直流給電方式の一つとして「DC12Vによる給電方式」の標準技術仕様書ドラフト版を作成し、プロトタイプシステムの研究開発とその動作検証・評価を行いました。プロトタイプシステムの動作検証・評価の結果、通常動作における電気特性上の問題はなく、操作性については著しく向上できていることがわかりました。
プロトタイプシステムは、6月11日より千葉・幕張で開催される展示会INTEROP東京2014(http://www.interop.jp/2014/)において展示予定です。
なお、本ドラフトとプロトタイプは、平成25年度にGUTP内の分科会として設立したデータセンターにおける新技術と先進的エネルギー管理・制御技術の相互接続性の確立と技術標準化を推進する“直流給電システム・サブワーキンググループ(SWG)”(主査:NTTデータ先端技術株式会社)の技術標準化活動の一環として行いました。

 

4.発表内容:
東京大学の東大グリーンICTプロジェクト(代表:東京大学大学院情報理工学系研究科 創造情報学専攻 教授 江崎 浩)は、特定非営利活動法人ASP・SaaS・クラウド コンソーシアム(会長:河合 輝欣)および特定非営利活動法人日本データセンター協会(理事長:白川 功)と協調連携し、平成25年度よりデータセンターにおける新技術と先進的エネルギー管理・制御技術の相互接続性の確立と技術標準化を推進する“直流給電システム・SWG”(主査:NTTデータ先端技術株式会社)をGUTP内の分科会として設立、活動を行ってきました。このたび技術標準化活動の一環として、データセンター内のICT機器に対する直流給電方式の一つとして「DC12Vによる給電方式」の標準技術仕様書ドラフト版を作成し、プロトタイプシステムの研究開発とその動作検証・評価を行いました。プロトタイプシステムの動作検証・評価の結果、通常動作における電気特性上の問題はなく、操作性については著しく向上できていることがわかりました。


データセンターは、社会・産業活動を支える最重要インフラの一つですが、莫大な電力がIT機器および冷却機器で消費されており、グリーン化(環境負荷の軽減)・スマート化(情報管理能力の高度化)が重要な社会的要請となっているため、データセンターの能力を保持しつつ電力消費を削減する技術の開発が急務です。


このような課題を解決するための手法として、“直流給電システム・SWG”は、データセンター内において行われている交流と直流の変換段数を削減し、データセンター内の配電を直流化することによって変換損失を減少させる手法を研究開発しています。その実現手法として、ICT機器に供給される電力について、ICT機器の基板で用いられるDC12Vを、変換部を介さずに直接効果的に供給させる構成を検討し【図1】、このたびDC12V直流給電方式の標準技術仕様書ドラフト版を作成しました。本標準技術仕様書ドラフト版は、ICT機器内で必要となる電圧範囲を保証するとともに、データセンター内で稼働するICT機器として、従来の電源ユニットが保有していた、電力計測などの必要となる機能も付与できるように考慮し、基準電圧12.2V±3.5%を軸とし、すでに存在する他の仕様も含め、個別に必要とする機能を選択できるよう、バリエーションを持たせることによって多様化する要求に対応できるようしています。


さらに、本標準技術仕様書ドラフト版に準拠した 直流給電対応のICT機器収容のためのラックのプロトタイプの試作は日東工業株式会社、SMK株式会社、篠原電機株式会社、日本航空電子工業株式会社が行い【写真1、2】、その動作検証と基本的な評価をNECの協力のもと行いました。


プロトタイプシステムは、6月11日より幕張で開催されるINTETROP東京2014(http://www.interop.jp/2014/)において展示予定です。
 

5.問い合わせ先: 
東京大学大学院情報理工学系研究科 教授 江崎 浩

東大グリーンICTプロジェクト 事務局
株式会社三菱総合研究所
担当 : 中村・吉田・橋田
事務局ホームページ:http://gutp.jp

 

6.用語解説: 

(注1)東大グリーンICTプロジェクト(GUTP、www.gutp.jp
東京大学が、2008年6月9日に大学院情報理工学系研究科の江崎浩教授を代表として、IPv6 普及・高度化推進協議会と協力し、発足させた「グリーン東大工学部プロジェクト」を2010年4月1日に全学の活動として再組織した。
東京大学本郷地区の工学部新2号館(2005年竣工 地上12階 総合研究教育棟)をモデル的な舞台として、個別に運用管理されていた施設の設備制御管理システムを相互接続し、投入・配送・消費エネルギーの状況を収集・可視化し、ITによる省エネとIT環境自身の省エネの両立を実証する。設立発起人(詳細は、「発起人・組織リスト」を参照)を中心に、技術規格標準化関連団体、建設会社、建設設計事務所、ハードウエア・ソフトウエアベンダ、インテグレータ、通信事業者などファシリティーの企画・設計・構築・運用に関連する関連組織からの参加の下、データ取得方法・表現形式などの標準化やファシリティーの運用管理効率の向上などをはじめとして、省エネ実現のモデルケース確立などに取り組んでいる。
参加企業・団体:http://www.gutp.jp/members/

 

(注2) ASP・SaaSクラウドコンソーシアム(ASPIC、www.aspicjapan.org
ASP・SaaSインダストリ・コンソーシアム(ASPIC)は、1999年11月に任意団体として誕生(創立メンバー85社)しました。その後、2002年2月に特定非営利活動法人(NPO)の認証を取得、2002年4月に行政機関からの受託事業を開始、以降、全国の自治体、中小企業、地域コミュニティに受託事業の活動範囲を拡大するなど、ASPを推進するNPOとして多くのASP関連企業や団体が参加し、市場活性化支援などの活動を進めています。

 

(注3) 日本データセンター協会(JDCC、www.jdcc.or.jp
日本データセンター協会(JDCC)は、2008年12月に任意団体として誕生しました。 日本データセンター協会は、データセンター事業者と主要データセンター関連事業者が参加する組織を形成し、各事業者が水平的垂直的に協力して、日本のデータセンターが、コスト面、性能面、安全面、信頼面で国際競争力を備えたものへと進化することによって、IT立国の基盤を支えるに社会基盤となるに資する活動を進めています。

 

図1:DC12Vラック内給配電系 概要図

 

写真1:日東工業によるバスバー内蔵試作ラック ならびにSMKによる新型コネクタ

 

写真2:篠原電機ならびに日本航空電子工業による従来型ラック取付型新型バスバー

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