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東京大学定量生命科学研究所の設置について記者発表

東京大学定量生命科学研究所の設置について

平成30年3月27日
 

 分子細胞生物学研究所における一連の研究不正事案を踏まえて、分子細胞生物学研究所を抜本的に改組し、平成30年4月1日付けで「定量生命科学研究所」を設置します。

 既存の13の研究分野および2つの研究センターを廃止するなど組織体制を抜本的に見直し、互いに相補的、相乗的に機能する2部門、2研究センターからなる4研究領域の設定による新たな体制を構築します。さらに実験動物の管理、可視化技術、ゲノム解析技術、質量分析技術などの基盤技術を中央化した中央実験室の設置など中核となる研究施設の共通化、大講座制による運営など研究室の垣根を越えたオープンな研究環境を実現します。また、若手研究者が独立するためのスタートアップ支援など、若手の支援体制を強化します。
 運営においては、所長の下に研究倫理推進室、学生支援室を設置し、集約的に研究倫理、研究活動全般を支援、統括する体制を構築します。さらに、著名な外国人研究者と日本人研究者で構成する「定量生命科学研究所Advisory Council」を設け、事業運営面におけるリスクマネジメント、研究不正などの防止に対する取り組みのモニタリングなどを行い、研究所運営に適切に反映させるなど、研究所内外に開かれた透明性をもった研究組織の運営を実現します。
 現在の生命科学分野、医学分野では先進的な測定技術の登場やデータベースの充実化により、膨大かつ多様なデータを統合的に解釈し、多角的に生命現象を捉えモデル化するといったデータ駆動型の研究を行うことが求められています。これは、基本的な生命現象の理解のみならず社会的な要請となっている効率的な創薬、治療、診断といった臨床応用の側面でも極めて重要な取り組みとなります。また、このような研究を可能にするためには、実験データの高い再現性や定量性が前提となることは言うまでもありません。このような背景のもと、定量生命科学研究所では、従来の分子細胞生物学研究所での構造生物学、ゲノム学の強みを活かしつつ、個別研究の枠を取り払い、既存手法の刷新も含めた、より定量性を重視した新たな方法論を開発、共有しつつ研究を発展させていきます。国内外の大学、研究機関との連携も積極的に展開し、最先端の数学、物理、化学、工学、人工知能研究を柔軟に取り入れ、原子、分子、細胞、組織、個体それぞれのレベルで生命現象を様々な角度から高い精度で記述し、生体分子の動作原理を解明します。また、これらの研究を推進していく上では、研究の再現性を何よりも大切にし、透明性の高い自由闊達な研究環境の確保と若手研究者の育成のための不断の努力のもとに、生命科学研究の先進的なモデルを担う研究所として、基礎生物学、医学生命科学の発展に寄与していきます。
 

〔定量生命科学研究所の概要〕
 (名称) 東京大学定量生命科学研究所
 (英語名)Institute for Quantitative Biosciences( IQB )
 (所在地)東京都文京区弥生1-1-1(本郷キャンパス)
 (組織と構成)所長、副所長、Advisory Council、研究倫理推進室、学生支援室、
           4研究領域、中央実験室、事務部

(教育研究内容)次の4つの研究領域で教育研究を進める。
  ・生命動態情報研究領域(生命動態研究センター)
    生命動態情報研究領域では可視化技術を中心とした定量化技法、モデル化技法の開発とその教育研究を行う。

  ・高度細胞多様性研究領域(高度細胞多様性研究センター)
    高度細胞多様性研究領域では特に一細胞、一分子の定量的解析手法の開発とその教育研究を行う。

  ・先端定量生命科学研究領域
    先端定量生命科学研究領域では、タンパク結晶構造の様々なレベルでの解析技法の開発と、染色体の動的構造
    の定量的解析技術の開発に基づいた研究、数理生物学に基づいた生命動態モデル化技法の開発とその教育研究

    を行う。

  ・応用定量生命科学研究領域
    応用定量生命科学研究領域では、上記の各分野から得られる成果を創薬、医学、工学、農学などの応用研究に
    展開し、産業イノベーションを加速させるための教育研究を行う。
 
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