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抗生物質の副作用低減 数千種の類縁体群の網羅的合成・評価による生物活性の分離 研究成果

掲載日:2020年10月1日

東京大学大学院薬学系研究科の井上将行教授、伊藤寛晃助教、高田悠里 博士らの研究グループは、抗生物質グラミシジンAの抗菌活性を保ちながら、望ましくない溶血活性、哺乳細胞毒性を大幅に低減した人工化合物の創出に成功しました。
薬物耐性菌起因の感染症は全世界的に重大な問題であり、新規抗菌薬の開発は創薬上喫緊の課題です。生物由来の抗生物質(天然物)は抗菌薬の基盤構造として優れている一方、望ましくない作用を持つこともあります。例えば、土壌細菌が産生する抗生物質であるグラミシジンAは強力な抗菌活性を持ちますが、顕著な溶血活性と哺乳細胞毒性などの副作用を示すため、抗菌薬としての適用は著しく限られています。本分子の適用範囲の拡大のためには構造改変が欠かせませんが、抗菌活性を保ちながら望ましくない作用を低減する構造改変は一般的に容易ではありません。
本研究グループは、グラミシジンAの固相合成とone-bead-one-compound (OBOC)ライブラリー戦略の応用により、樹脂ビーズ上で4000種類を超える構造類縁体群を網羅的に構築・評価し、抗菌活性を保持しながら大幅に溶血活性、哺乳細胞毒性を低減した人工化合物を見出すことに成功しました。本成果は、発見からおよそ80年が経つグラミシジンAに対して、これまで困難とされてきた特定の生物種にのみ作用する性質(生物種選択性)を付与できることを示し、天然物の抗菌薬、ひいては医薬品資源としての可能性をさらに拡大するものです。
本研究成果は、英国科学誌「Nature Communications」で2020年10月1日(日本時間午後6時)に公開されました。
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論文情報

Yuri Takada, Hiroaki Itoh, Atmika Paudel, Suresh Panthee, Hiroshi Hamamoto, Kazuhisa Sekimizu, Masayuki Inoue*, "Discovery of gramicidin A analogues with altered activities by multidimensional screening of a one-bead-one-compound library," Nature Communications: 2020年10月1日, doi:10.1038/s41467-020-18711-2.
論文へのリンク (掲載誌別ウィンドウで開く)

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