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がんの元になる細胞を周囲の正常細胞が認識・排除する機構の解明 液性因子を介した細胞間コミュニケーションの発見 研究成果

掲載日:2020年12月23日

近年、がんの元になる形質転換細胞等が周囲の正常細胞によって認識・排除される細胞競合(注1)という現象が注目を集めています。細胞競合は腫瘍形成の初期段階で働く重要ながん抑制機構の一つであると考えられます。そのため細胞競合の分子機構を解明することは、がん生物学の発展に貢献するだけでなく、医療応用の観点からも重要です。しかし、正常細胞による形質転換細胞の認識・排除機構には未だ不明な点が多く残されていました。
今回、東京大学大学院薬学系研究科博士課程3年の小川基行大学院生、名黒功准教授、一條秀憲教授らの研究グループは、形質転換細胞から分泌されるFGF21という液性因子が正常細胞に認識されることで細胞競合が誘導されることを発見しました。FGF21は周囲の正常細胞を誘引することで、形質転換細胞が正常細胞に物理的に圧迫されて排除されることが分かりました。また、形質転換細胞においてASK1-p38というシグナル伝達経路が活性化してFGF21の発現誘導を担うことも明らかにしました。
本研究成果により、正常細胞が形質転換細胞を認識・排除する機構の一端が明らかになりました。今後、発見された細胞競合誘導機構を標的として新規がん治療戦略の構築に繋がることが期待されます。

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図1:形質転換細胞であるScribble欠損細胞が細胞競合により排除されるモデル図
 

論文情報

Motoyuki Ogawa, Yosuke Kawarazaki, Yasuyuki Fujita, Isao Naguro*, and Hidenori Ichijo*, "FGF21 induced by ASK1-p38 pathway promotes mechanical cell competition by attracting cells," Current Biology: 2020年12月22日, doi:10.1016/j.cub.2020.11.052.

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