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神経幹細胞の温度受容体がストレスによる成体神経新生の障害に関与する マイクログリアによる貪食を介した新たなメカニズムの発見 研究成果

掲載日:2021年11月27日

 東京大学大学院薬学系研究科の小山隆太准教授らの研究グループは、脳の神経幹細胞に発現する温度受容体が、ストレスによって生じる成体神経新生の減少に関与することを、マウスの社会性ストレスモデルを利用して明らかにしました。
 私たちが心理的・社会的ストレスを受けると、発熱が生じることがこれまでに知られていました。この発熱は心因性発熱と呼ばれ、その発生メカニズムについてこれまでに様々な研究が展開されてきました。一方で、この発熱がその後生体にどのような影響を及ぼすのか、及ぼすとすればどのようなメカニズムが存在するのかについては不明でした。
 研究グループは、発熱による温度変化を伝える因子として、温度受容体タンパク質の一つであるTransient receptor potential vanilloid 4 (以下、TRPV4) に着目しました。これは、まず、TRPV4 が体温付近の温度変化に反応するためです。研究グループは、ストレス応答に重要な海馬歯状回に存在する神経幹細胞に TRPV4 が多く発現することを発見しました。そして、その活性化が脳内免疫細胞であるマイクログリアによる神経幹細胞の貪食を促進することを発見しました。
 本研究から、脳の温度受容体の活性化がストレス応答とその後の脳への影響に関与することや、そのメカニズムが明らかにされました。

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論文情報

Yutaka Hoshi, Koji Shibasaki, Philippe Gailly, Yuji Ikegaya, Ryuta Koyama, "Thermosensitive receptors in neural stem cells link stress-induced hyperthermia to impaired neurogenesis via microglial engulfment.," Science Advances: 2021年11月27日

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