PRESS RELEASES

印刷

脳報酬系の神経活動による末梢免疫系への影響研究成果

掲載日:2022年1月27日

東京大学大学院薬学系研究科博士課程の鹿山将大学院生(研究当時)、池谷裕二教授、東北大学大学院薬学研究科の佐々木 拓哉教授の研究グループは、脳報酬系の一部である腹側被蓋野のドパミン神経細胞を活性化させると、末梢血清中の免疫調節因子が変動することを発見しました。
「病は気から」と言うように、私たちの快・不快の情動は、ウイルスなどへの感染のしやすさや癌発症のリスク上昇など、生体防御反応にも重要な影響を与えることが、経験的にわかっています。しかし、このような脳と末梢免疫反応を繋ぐような生体メカニズムを明らかにするための基礎研究は、あまり行われてきませんでした。
本研究グループは、情動反応や報酬を体験した際に活動する脳領域として、腹側被蓋野に着目しました。この腹側被蓋野には、特に報酬に強く反応するドパミン神経細胞があります。本研究では、マウスを用いて、このドパミン神経細胞を光で活性化できる技術(光遺伝学的手法)を適用し、これらの神経細胞のみを高頻度に刺激しました。その結果、免疫調節因子であるサイトカインの血清中濃度が増加することがわかりました。さらに同様の効果は、オスマウスがメスマウスに遭遇するような自然界と同じ条件でも、観察されました。
以上の結果は、脳の報酬系が、身体の免疫系を制御することを直接証明するものであり、様々な生体防御反応を理解するための重要な布石となります。
 
詳しくはこちら
 

論文情報

Tasuku Kayama, Yuji Ikegaya, Takuya Sasaki, "Phasic firing of dopaminergic neurons in the ventral tegmental area triggers peripheral immune responses," Scientific Reports: 2021年11月27日

アクセス・キャンパスマップ
閉じる
柏キャンパス
閉じる
本郷キャンパス
閉じる
駒場キャンパス
閉じる