神経活動の多様性を増幅させるメカニズムを発見 ~発火前の一時的な抑制が決め手~ 研究成果
東京大学大学院薬学系研究科の野口朝子大学院生、池谷裕二教授らの研究グループは、sharp wave ripple(以下、SWR)と呼ばれる脳波にともなう多様な神経活動パターンの制御因子として、SWR直前の抑制性神経活動を提案しました。
脳を構成する多数の神経細胞は、適切な時空間パターンで活動することによりあらゆる情報を表現すると考えられています。このような活動パターンは発火シークエンスとして知られ、個々の神経細胞が適切なタイミングで発火することにより生じます。その多様性は脳が処理できる情報のバラエティにつながる重要な性質ですが、多様で柔軟な表現を可能にする機構は明らかではありません。
同研究グループでは、成体マウス海馬CA1野からの多細胞同時膜電位記録系を新たに構築し、SWRにともなう発火シークエンスの発生過程を初めて発火閾値下膜電位レベルで捉えました。その結果、SWR発生直前に見られる一過性の抑制性入力が海馬神経細胞の発火タイミングを制御することを見出しました。そして、この抑制性入力を生み出す抑制性神経活動の時空間的多様性が、発火シークエンスの豊富なパターンの創出に寄与することを提案しました。
本研究成果は2022年3月11日のNature Communications誌(オンライン版)に掲載されました。
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脳を構成する多数の神経細胞は、適切な時空間パターンで活動することによりあらゆる情報を表現すると考えられています。このような活動パターンは発火シークエンスとして知られ、個々の神経細胞が適切なタイミングで発火することにより生じます。その多様性は脳が処理できる情報のバラエティにつながる重要な性質ですが、多様で柔軟な表現を可能にする機構は明らかではありません。
同研究グループでは、成体マウス海馬CA1野からの多細胞同時膜電位記録系を新たに構築し、SWRにともなう発火シークエンスの発生過程を初めて発火閾値下膜電位レベルで捉えました。その結果、SWR発生直前に見られる一過性の抑制性入力が海馬神経細胞の発火タイミングを制御することを見出しました。そして、この抑制性入力を生み出す抑制性神経活動の時空間的多様性が、発火シークエンスの豊富なパターンの創出に寄与することを提案しました。
本研究成果は2022年3月11日のNature Communications誌(オンライン版)に掲載されました。
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論文情報
Noguchi, A., Huszár, R., Morikawa, S., Buzsáki, G., Ikegaya, Y. , "Inhibition allocates spikes during hippocampal ripples," Nature Communications: 2022年3月11日, doi: 10.1038/s41467-022-28890-9.