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ケミカルプローブの全自動合成を基盤とする酵素の機能解析の新手法 疾患と関わるタンパク質機能異常の網羅的な探索を実現 研究成果

掲載日:2026年7月2日

 東京大学大学院薬学系研究科の箕田麻弥乃学術専門職員(研究当時)、小松徹准教授、浦野泰照教授らの研究グループは、酵素の活性を可視化する「蛍光プローブ」を、カラムクロマトグラフィーなどの精製過程を経ずに自動合成できる仕組みを構築し、これを用いた新たな酵素活性解析の方法論を提案しました。
 特定の酵素によって代謝され、蛍光シグナルの増大によって活性を検出する「蛍光プローブ」は、酵素の生きた機能を直接的に「見る」ことを可能とする有用な研究ツールですが、生体内に存在する多様な酵素を網羅的に解析するためには高い機能性を有する多様な蛍光プローブを効率的に合成することが必要とされています。特に、1分子酵素活性計測などの高精度な活性計測系にこれを用いるためには、極めて高い化学純度を有するプローブを合成することが求められ、通常は1つずつのプローブに対してカラムクロマトグラフィーなどの方法論を用いた精製をおこなうことが必要となるため、合成の効率化は困難と考えられてきました。
 これに対し本研究では、多彩な化学反応が可能な「液相合成」と、精製を簡便化できる「固相合成」の利点を融合したSynthesis based on Covalent Capture and Release(SCCR)戦略を開発しました。本手法では、独自に開発した固相捕捉ハンドル付きの保護基を用いることで、液相合成の任意のステップで目的物のみを選択的に固相上に捕捉して固相合成へと移行する合成スキームの構築を可能とし、ペプチド全自動合成機を用いて、高純度のプローブをカラムクロマトグラフィーによる精製を経ずに合成することを実現しました。これにより、100種類以上のプローブからなる1分子酵素活性計測系ライブラリを短期間で構築することが可能となり、酵素の機能解析用の新規蛍光プローブの創出や新たな血液バイオマーカー候補の発見へと繋がる成果が得られました。本手法は、遺伝子やタンパク質量だけでは捉えきれない、疾患に伴う微細なタンパク質機能(proteoform)の変化を包括的に描き出す新たなオミクス階層(enzymomics;酵素機能のオミクス解析)の樹立に大きく貢献することが期待されるものです。
 本成果は、6月29日付でACS Central Science 誌に掲載されました。

論文情報

Mayano Minoda, Tadahaya Mizuno, Takumi Iwasaka, Hiroyuki Kusuhara, Yu Kagami, Shingo Sakamoto, Norimichi Nagano, Chiaki Hori, Kazufumi Honda, Yasuteru Urano1, and Toru Komatsu, "Synthesis based on covalent capture and release enables purification-free fluorogenic probe libraries for single-molecule protease activity profiling," ACS Central Science: 2026年6月29日, doi:10.1021/acscentsci.6c00783.
論文へのリンク (掲載誌別ウィンドウで開く)

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