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新規クロマチン凝集因子の発見 HMGA2はクロマチンを直接凝集させ神経幹細胞の維持に貢献する 研究成果

掲載日:2023年10月16日

 真核生物のゲノムDNAは、ヒストンタンパク質群に巻き付けられてヌクレオソームと呼ばれる構造体を作り、このヌクレオソームが数珠状に連なることでクロマチン構造が形成されています。このクロマチンの凝集状態の違いによってゲノムDNAからの読み取りができるかどうかが決まるため、クロマチンの凝集状態の制御は極めて重要です。しかしながら、クロマチンを凝集させる因子はこれまで限られた数しか報告されていませんでした。
 今回、東京大学大学院薬学系研究科の桑山尚大大学院生/特別研究員(研究当時)、後藤由季子教授(兼:ニューロインテリジェンス国際研究機構(WPI-IRCN) 主任研究者)らの研究グループは、同大学定量生命科学研究所の鯨井智也助教、胡桃坂仁志教授らとの共同研究により、これまで機能に不明な点が多かった因子HMGA2がクロマチンを直接凝集させる活性を持つことを明らかにしました。さらに、クロマチンの凝集活性を持たない変異体HMGA2を作出することで、HMGA2の凝集活性こそが神経幹細胞の維持に重要であることを見出しました。HMGA2は個体発生やがん、細胞老化といった現象に貢献することが知られるため、この研究はこれらの幅広い生命現象の理解につながることが期待されます。

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論文情報

Naohiro Kuwayama, Tomoya Kujirai, Yusuke Kishi, Rina Hirano, Kenta Echigoya, Lingyan Fang, Sugiko Watanabe, Mitsuyoshi Nakao, Yutaka Suzuki, Kei-ichiro Ishiguro, Hitoshi Kurumizaka and Yukiko Gotoh, ""HMGA2 directly mediates chromatin condensation in association with neuronal fate regulation"," Nature Communications: 2023年10月12日, doi:10.1038/s41467-023-42094-9.
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