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HPCI共用ストレージへのデータ転送サービス開始 SACLA実験データの大規模解析による新たな研究成果創出に向けて 記者発表

掲載日:2021年5月14日

理化学研究所
東京大学

 理化学研究所(理研)放射光科学研究センター、理研計算科学研究センター(R-CCS)および東京大学情報基盤センターは、X線自由電子レーザー(XFEL)[1]施設「SACLA[2]」で得られた実験データの大規模解析のため、SACLAからHPCI[3]共用ストレージ[3]へのデータ転送サービスを5月14日より開始しました。

 近年、SACLAで得られた大量の実験データを、外部の研究機関と迅速に共有し、高度な計算科学によって解析を行うニーズが急速に増えています。そこで本サービスでは、R-CCSと東大情報基盤センターが運用するHPCI共用ストレージを活用して、高性能・高信頼なデータ転送を実現します。HPCI共用ストレージで用いているオープンソース分散ファイルシステム「Gfarm」を活用した高速データ転送ツールを提供することで、幅広いユーザーが簡便に利用できる環境を整えました。これにより、スーパーコンピュータ「富岳[4]」「Wisteria/BDEC-01[5]」をはじめとしたHPCIを構成するスーパーコンピュータの能力を活用した大規模解析が容易になり、新たな研究成果が創出されることが期待できます。
 

補足説明

[1] X線自由電子レーザー(XFEL)
X線自由電子レーザーとは、X線領域におけるレーザーのこと。従来の半導体や気体を発振媒体とするレーザーとは異なり、真空中を高速で移動する電子ビームを媒体とするため、原理的な波長の制限はない。また、数フェムト秒(1フェムト秒は1,000兆分の1秒)の超短パルスを出力する。XFELはX-ray Free Electron Laserの略。
 
[2] SACLA
兵庫県の播磨科学公園都市内にあるX線自由電子レーザー(XFEL)施設。最大60Hzで照射されるXFELパルスに同期した共用検出器を用いて、最大750MB/秒のデータ収集が可能。今後は次世代検出器CITIUSを導入し、毎秒4,800 MBまで高度化を予定。
 
[3] HPCI、HPCI共用ストレージ
革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ。「富岳」をはじめ、国内の大学や研究機関に設置されたスーパーコンピュータやストレージを高速ネットワークSINETで結んだ共用計算環境基盤のこと。大学、研究機関や企業などに所属する研究者が、課題選定を経て利用可能となる。共用ストレージは、HPCIにおける大規模データ共有基盤として容量約50PBの高速ファイルシステムであり、R-CCSと東大ITCが共同で運用している。互いにデータを多重化することにより、R-CCS・東大ITCのどちらか一方が停止しても、もう一方のみでサービスが継続可能。2018年10月10 日から無停止連続運用を継続中。
 
[4] スーパーコンピュータ「富岳」
「京」の後継機。社会的・科学的課題の解決で日本の成長に貢献し、世界をリードする成果を生み出すことを目的とし、消費電力性能、計算性能、ユーザーの利便性・使い勝手の良さ、画期的な成果創出、ビッグデータやAI(人工知能)の加速機能の総合力において世界最高レベルのスーパーコンピュータ。
15万8976個の中央演算装置(CPU)を搭載し、1秒間に約44京2010兆回の計算が可能。2020年6月と11月に世界のスパコンランキング「TOP500」「HPCG」「HPL-AI」「Graph500」で2期連続の世界一位を獲得した。
 
[5] Wisteria/BDEC-01(ウィステリア/ビーデックゼロワン)
東京大学情報基盤センターに新しく導入され、2021年5月に運用を開始したスーパーコンピュータシステム。シミュレーションノード群(Odyssey(オデッセイ))とデータ・学習ノード群(Aquarius(アクエリアス))の二つの計算ノード群を有する。従来の計算科学・計算工学シミュレーションに加えて、データ科学、機械学習等の知見を融合した新しい手法を適用することで、サイバー空間(仮想)とフィジカル空間(現実)を高度に融合させた Society 5.0 実現への貢献が期待される。1秒間に約3京3100兆回の計算が可能(理論ピーク性能)で、2020年11月のスパコンランキングTOP500では「富岳」に続く国内第2位の性能に相当する。
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