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動物にもアルツハイマー病はあるのか ツシマヤマネコの脳にアルツハイマー病に特徴的な神経原線維変化が観察された

掲載日:2012年11月7日

東京大学農学生命科学研究科獣医学専攻 チェンバーズ ジェームズ 特任助教、同 内田 和幸 准教授、同 中山 裕之 教授らの研究グループは、絶滅危惧種ツシマヤマネコの脳で、アルツハイマー病の特徴的病変であるβアミロイドの沈着と神経原線維変化が高率に生じることを発見した。βアミロイドの沈着は顆粒状び漫性で老人斑は認められなかったが、神経原線維変化の形態、脳内分布、構成タンパク質はヒトのアルツハイマー病のそれらと同じであった。また、βアミロイドのアミノ酸配列は他の動物種とは異なっていた。

ヒトのアルツハイマー病患者の脳にみられた神経原線維変化(左、黒色の部分)とツシマヤマネコの脳にみられた神経原線維変化(右、黒色の部分)。大脳皮質。いずれもガリアス=ブラーク染色標本。© James K. Chambers.

アルツハイマー病では、老人斑の形成が先行し、続いて神経原線維変化が生じると考えられている。しかし従来の研究で報告されていたチーターおよび今回の研究で着目したツシマヤマネコの脳では、老人斑が形成されず、微細なβアミロイド沈着と神経原線維変化が観察された。従来の観察結果及び今回の成果により、アルツハイマー病の病態メカニズムや病態進化を考える上で、ネコ科動物の特殊性が示唆された。

プレスリリース

論文情報

Chambers JK, Uchida K, Harada T, Tsuboi M, Sato M, Kubo M, Kawaguchi H, Miyoshi N, Tsujimoto H, Nakayama H,
“Neurofibrillary tangles and the deposition of a beta amyloid peptide with a novel N-terminal epitope in the brains of wild Tsushima leopard cats”,
PLOS ONE Online Edition: 2012/10/4 (A.M.7 Japan time), doi: 10.1371/journal.pone.0046452.
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