東京大学教員の著作を著者自らが語る広場

紺色の表紙

書籍名

独占禁止法 [第3版]

著者名

白石 忠志

判型など

840ページ、A5判、上製カバー

言語

日本語

発行年月日

2016年12月

ISBN コード

978-4-641-14493-4

出版社

有斐閣

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独占禁止法 [第3版]

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本書は、独占禁止法に関する情報を整理し体系化して示すものである。独占禁止法 (独禁法) は、国際的な共通語では「競争法 (competition law)」と呼ばれるが、本書は主に日本の競争法である独占禁止法を中心に情報を収集し体系化しているため、『独占禁止法』という書名としている。
 
情報の大海原の中では、体系があって初めて、それを整理することができ、また、いま何が見えていないかを知ることもできる。新たな情報が現れて既存の体系では説明できないならば、それに柔軟に対応すればよい。
 
本書の体系は、これまで著してきた数々の論文を柱として、構築している。論文によって要所を研究していて初めて強靭な体系となるし、体系の中に位置付けられて初めて堅実な論文となる。
 
日々の授業、研究会、資料収集などの際に、ふと考えたことは、なるべく漏らさず、取り入れるようにしている。一部の読者からは、普段の実務で新たな問題に遭遇しても、関連する何かが本書には必ず書いてある、という評価をいただいている。もっとも、著者個人としては、漏れている問題や切り口は多く、さらに改善する余地が大きいと考えている。
 
本書は、全編を通読することを予定したものではない。読者が、日々の実務等で必要となった箇所を見つけて、その部分だけを読む、ということを想定している。そのような部分の集積を1冊としている、という感覚である。したがって、見出しや索引は、関係する箇所を読者が見つけやすいよう、特に力を入れて作成している。
 
この種の法律書の大半が従っている資料引用方式にも囚われず、現代の読者が置かれた状況を考えて、新たな方式を多く取り入れている。
 
例えば、日本の法律書では、判決等を引用しても、判例集の最初の頁を掲げるのみであるが、長い判決等も多いことに鑑みて、本書では原則として該当ページを入れるようにしている。
 
また、脚註では、判例集の引用は省略し、代わりに事件番号を引用している。多くの読者は、判例集を個人で所蔵してはおらず、ネット上で利用可能な無料・有料のデータベースを使うことが多いと考えられる。しかしそれらにおいては、判決年月日の情報だけでは、複数のものがヒットし、絞り込みに時間がかかることが稀ではない。事件番号がわかれば、比較的短時間で検索できる。
 
その時代の読者、特に先端の実務と研究に携わる人々に使いやすく有益な体系を提供できるよう、さらに努力し版を重ねたいと考えている。
 

(紹介文執筆者: 法学政治学研究科・法学部 教授 白石 忠志 / 2017)

本の目次

 序 章
第1部 違反要件総論
 第1章 違反要件序論
 第2章 弊害要件総論
 第3章 他者排除行為の場合の違反要件の構造
 第4章 因果関係
 第5章 違反要件総論のその他の問題
 
第2部 各違反類型
 第6章 各違反類型序論
 第7章 不当な取引制限
 第8章 私的独占
 第9章 不公正な取引方法
 第10章 事業者団体規制
 第11章 企業結合規制
 第12章 例外的な違反類型
 
第3部 エンフォースメント総論
 第13章 エンフォースメント序論
 第14章 公正取引委員会
 第15章 公正取引委員会による被疑事件処理
 第16章 刑 罰
 第17章 民事裁判
 

関連情報

書評:
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