東京大学教員の著作を著者自らが語る広場

白い表紙に水色の縦ライン

書籍名

コミュニケーション・ダイナミクス 1 地域づくりのコミュニケーション研究 まちの価値を創造するために

判型など

256ページ、A5判

言語

日本語

発行年月日

2017年3月10日

ISBN コード

9784623078479

出版社

ミネルヴァ書房

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地域づくりのコミュニケーション研究

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経済活動のグローバル化と日本の人口減少や高齢化が進む中で、経済の停滞や雇用の場の喪失、そして、地域コミュニティの希薄化など地域社会・経済は厳しい状況に直面している。他方で、こうした状況の中でも、地域に根ざして活動する人々がつながり、地域の資産をうまく活用することで、まちの魅力を引き出し、地域の価値を創造する取り組みが進められている。
 
本書では、地域の人々が連携して協働することで、地域価値を創造しうることを、いくつかの事例を交えながら明らかにしていく。その上で、今後の地域社会・経済が自律的に、かつ、持続可能な形で発展していくにはどうすればよいのかについて考察していこうとするものである。
 
本書の主題である地域価値の創造について簡単に紹介する。アマルティア・センらによる潜在能力アプローチに基づいて考察し、地域社会で暮らす人々のwell-beingに焦点を当てて考え、「地域社会の人々の状態 (being) をよい (well) ものにすること」を地域価値の創造として扱う。そして、その価値を生み出す根本的要素について論じる。すなわち、価値を貯蔵し、将来にわたって新たな価値を生み出すことができる根本的な要素を資本として扱い、経済的資本、人的資本、社会関係資本、文化資本などがあることを示す。その上で、地域社会の価値とそれを生み出す様々な資本の関係を価値創造の姿として提示する。以上を序章で論じる。
 
第1章以降で、まちの価値の創造につながる個別の事例の紹介や具体的なデータに基づいた知見を示す。地域ブランド、芸術、ジャーナリズム、医療、ソーシャル・メディア、地域経済など多角的なアプローチとなっている。各章で取り上げられている事例やテーマは、いかにして、地域社会の人々の状態 (being) をよい (well) ものにするかにかかわるものである。序章で紹介する地域価値を生み出す資本のうち、各章で扱う事例や対象が関係するのは、主に、経済的資本、人的資本、社会関係資本、そして、文化資本となる。これらの資本は、いずれも人間が中心となるものであり、人と人のコミュニケーション無しには成立できない。本書の内容は、一般的に用いられるコミュニケーション研究とは離れているものが多いが、地域社会の価値をいかに創造するかという点でコミュニケーショを広く捉えて、本書のタイトルを「地域づくりのコミュニケーション研究」とした。
 
本書は、編著者である田中が中心となって執筆しているが、関連する分野の研究者や実務家などの多才な執筆陣に参加してもらっている。
 

(紹介文執筆者: 情報学環 教授 田中 秀幸 / 2017)