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書籍名

水辺のすこやかさ指標 "みずしるべ" ~身近な水環境を育むために~

著者名

古米 弘明 (編著)、 石井 誠治、風間 ふたば、風間 真理、古武家 善成、清水 康生 (著)

判型など

130ページ、A5判

言語

日本語

発行年月日

2016年10月

ISBN コード

978-4-7655-3470-3

出版社

技報堂出版株式会社

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水辺のすこやかさ指標 "みずしるべ"

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本書は、平成21年度に環境省から公表された「水辺のすこやかさ指標 (みずしるべ)」の背景にある重要な知見を紹介するとともに、この指標を活用いただくために執筆したものです。執筆者は、日本水環境学会に設置された水環境の総合的な指標に関する研究委員会のメンバーです。ある意味、この指標の深化と普及に取り組んできた研究委員会の活動成果のエッセンスをとりまとめたものです。
 
水辺のすこやかさ指標は、自然なすがた、生きもの、水のきれいさ、快適さ、地域での利用などの視点から河川を取り巻く環境を調べる際に活用できるものです。皆さんが住んでいる周辺にある河川などの水環境を教材として、環境学習において使われることを目指したものでもあります。したがって、より多くの方々に親しみを持っていただける愛称として、「みずしるべ」が採用されました。これは、道しるべの“みち”を“みず”にした、水の標 (しるべ) です。まさに本来の望ましい水環境を指し示し、そちらへ導くための“ものさし”です。
 
1章では、まず水環境の捉え方、河川の水環境とそれに対する住民意識を、そして2章では、水環境に関する法制度とその管理方法、そして国内外の新たな動向など、水環境を考えるうえでの基礎的な知識を取りまとめています。3章では、水質指標だけに頼らない水環境を総合的に捉える必要性を説明しました。そして、4章には、本書のタイトルである指標の説明やその活用や調査方法について具体的に紹介しています。さらに、5、6章では、地方自治体、住民・NPO、小学校における指標の活用事例、高等教育における研究展開について取りまとめました。そして、最後の7章では、全体的なまとめと指標のさらなる発展を願って展望を記載しています。
 
以上にように、本書では、水環境や水環境管理に関する基礎的な内容から、水環境を総合的に評価する必要性や事例を示しながら指標の活用のありかたについてわかりやすく記載したつもりです。したがって、水環境に興味を持っておられる一般住民やNPOの方々、小学校から高校における環境教育に関わる教員やその指導者の方々だけでなく、大学生や河川の水環境管理に携わる行政職員など、幅広く関係者に読んでいただくことを願っております。
 
是非、より多くの方々に実際の河川に出かけていただき、身近な水辺を歩きながら関心を深め、五感も活用する指標を使いながら皆で水環境を調べ、健やかさ (健全性) について議論していただくことを希望しています。そして、読者の皆さんが水環境をより深く知り、よりよい姿を考え、そこから学び、その結果として、本書の副題である「身近な水環境を育むために」、この指標が生かされることを心より期待しています。
 

(紹介文執筆者: 工学系研究科 教授 古米 弘明 / 2018)

本の目次

第 1 章  水環境の現状
第 2 章  水環境の管理
第 3 章  水環境総合指標の必要性
第 4 章  水辺のすこやかさ指標
第 5 章  教育・啓発活動における活用
第 6 章  高等教育における活用と研究への展開
第 7 章  まとめと今後の展望
 

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