東京大学教員の著作を著者自らが語る広場

白とオレンジの表紙

書籍名

フランス語II (’18)

判型など

268ページ、A5判

言語

日本語、フランス語

発行年月日

2018年

ISBN コード

978-4-595-31907-5

出版社

放送大学教育振興会

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フランス語II (’18)

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パトリック・ドゥヴォスと森元庸介が共同で執筆した『フランス語II (’18)』は、放送大学のラジオ放送でお届けする中級フランス語講義のために作成された印刷教材である。基本的には、全体の構成や文法の学習の進み方など、同大学のテレビ放送のために作成された初級レベルの『フランス語I (’18)』の続編として考案された。従って内容としては、この『フランス語II (’18)』は、『フランス語I (’18)』を受けてフランス語の仕組みの全体像を把握してもらうと同時に、その基礎文法や基本的な語彙を学習し終えることが目的である。
 
予めお断りする必要があるが、本にCDが添付されていないということもあって、発音と練習の指導、テキストの読解、文法の説明などが丁寧に行われる放送による講義に頼らずこの教材を使用することはやや難しくなるが、決して不可能ではない。
 
15課にわたって勉強する文法項目は次の通りである。1~4課は直説法複合過去と半過去の用法と基本的な違い。5~6課では直接目的語と間接目的語の人称代名詞の後に、7課は代名動詞、8~9課は基本的な関係代名詞、10課は未来形、11課は中性代名詞、12~13課は条件法や接続法、14課は現在分詞とジェロンディフ、そして最後の15課は直説法大過去、というふうに文法の紹介が展開していく。各課は皆同じく5つのセクションから構成されている。まず、簡単なDialogueで、課題になっている文法事項を様々なヴァリエーションを通じて生き生きとした会話で発見してもらう。第2セクションは、あらたな例文を加えた課題の文法の説明である。続いて、Dialogueの口語と異なる多様な書き言葉 (ジャーナリズム系の文、手紙など) の「Lecture」の第3セクションで、同文法項目を別の文脈と内容で確認する。その理解が深まったところで、第4セクション「À Vous!」では、様々な練習に誘う。そした最後の第5セクセションは「Récréation」という題の通り、遊び心で、練習してきた文法を生かしながら前のセクションで読んだDialogueとlectureと関連のあるシャンソン、詩、諺、俗語、フランス語の言葉の意外な語源などを通じて、フランス語の音、リズム、言ってみればそのスピリットを実感してもらうためのセクションである。各課のDialogueの後に語彙の説明や全訳が入り、その他のLectureの全訳、練習の回答、そしてRécréationの解説は巻末に載っている。
 
言葉は必ず意味内容を伴うものであるから、この教材では一貫して努力したのは従来のフランスにつきまとう常套のイメージを避け、あまり知られていないフランス文化あるいはフランス語圏の様々な顔や背面を垣間見せることだった。例えば芸術という話題なら、アール・ブリュットや町に散見する壁画、または国際庭園フェスティバル、汚染問題なら照明や騒音による汚染、文学なら虚構の作家の話あるいは賞を断る作家の系譜、フランスが見る日本なら漫画や第一世界大戦の塹壕で兵隊さんが詠んだhaiku、ワインなら都会の中の葡萄畑、といった若干逸脱した話題で、好奇心が湧きそうな内容を優先させた。
 

(紹介文執筆者: 総合文化研究科・教養学部 教授 ドゥヴォス・パトリック / 2019)

本の目次

まえがき
学習にあたって
 
1, フランスの歌とその多様な背景 文法—直説法複合過去(1)
2. 境界のほうへ 文法—直説法複合過去(2)
3, 街中のアート 文法—直説法半過去
4. タヒチの思い出 文法—複合過去と半過去
5. 俳句愛好者 文法—人称代名詞(1)
6. ワインが香る 文法—人称代名詞(2)
7. 絵画とその空間 文法—代名動詞
8. フランコフォニー 文法—関係代名詞(1)
9. フェスティバルまっさかり 文法—関係代名詞(2)
10. アフリカ、アフリカ 文法—直説法単純未来
11. 理想の教育を求めて 文法—中性代名詞
12. 汚染、また汚染 文法—条件法現在
13. 服を着る、でもどうして? 文法—接続法現在
14. マルセイユのMuCEM 文法—現在分詞、ジェロンディフ
15. 作家たち 文法—直説法大過去、Lecture訳、À vous!解説、Récréation解説
著者紹介
 

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