
書籍名
自園で新型コロナウイルスの感染者が出たとき 事例に学ぶ 保育園・幼稚園・こども園ですぐにすること・日頃から備えておくこと
判型など
72ページ、A5判
言語
日本語
発行年月日
2020年10月
ISBN コード
978-4-89464-274-4
出版社
ひとなる書房
出版社URL
学内図書館貸出状況(OPAC)
英語版ページ指定
2020年初めから新型コロナウイルス感染症の感染拡大が社会に大きな影響をもたらしました。「密を避けること」や、マスクや消毒の重要性がいわれ、保育所やこども園、幼稚園でも緊急に対応を迫られました。しかし、乳幼児は人とのかかわりの中でこそ育つことができるのであり、園で密を避けることはとても難しいことです。そして、園で新型コロナウイルスの感染者が出た時の対応も困難を極めました。園で陽性者が出たときに、どのように対応すればよいのか?職員にはどのように伝え、自治体とはどのように連絡を取り、保護者にはいつどのように伝えればよいのか?陽性者のプライバシーをどのように守ればよいのか?誰にとっても初めての経験で、正しい答えはなく、園の関係者に不安が広がっていました。
こうした状況を踏まえ、本書は、新型コロナウイルス感染症の感染者がでたときの園の対応、また、感染拡大を予防しながら子どもの発達を保障するための園の対応の工夫について、日本保育者支援協会の新保庄三先生と共に保育関係者向けにまとめたものです。
前半では、2020年の春という感染拡大の初期の段階で、陽性者が出たいくつかの園に取材したことを事例として紹介し、そのポイントを整理しました。そのときの混乱した状況や不安、園長や職員の対応などについて、園長先生が語ってくださったことを、時系列になるべくリアルな形で綴りました。自治体によっても、園によっても対応の仕方は異なっているため、対応の仕方をマニュアル化するよりも、それを読んだ保育関係者が事例を追体験し、自園での具体的な対応を想像したり、検討したりすることができるように心がけました。
後半では、感染拡大を予防しながら子どもの発達を保障するための園の対応の工夫や、保育を支える職場づくりについて整理しました。冒頭でも述べたように、乳幼児は人とのかかわりの中でこそ育つことができるのであり、「密を避ける」ということと、「発達を保障する」ことの両立はとても難しいことです。感染予防対策が必要な状況が長期化することも予想されたため、感染予防対策だけに偏らず、子どもの育ちを大切にすることといかにバランスをとるかを考えていただける内容としました。
本書は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の初期の段階での対応を考える手がかりとしてまとめたものであり、状況が時々刻々と変わる中では、書かれている方法のすべてが必ずしも常にあてはまるものではないかもしれません。しかし、保育の現場での緊急対応をサポートするものとして一定の意味をもっていると思いますし、未曽有の事態に対して保育現場でどう対応しようとしたのかを証言する歴史的資料としての価値もあるのではないかと考えています。
(紹介文執筆者: 教育学研究科・教育学部 准教授 野澤 祥子 / 2022)
本の目次
1 職員陽性判明の一報から休園・保育再開までのドキュメント
――ある民間保育園園長の体験から (日本保育者支援協会)
2 事例をもとに対応のポイントをさぐる
――〈そのとき行う対応〉と〈事前の準備〉 (野澤祥子)
(1) 緊急の対応
(2) 休園後すぐの対応
(3) 開園に向けての対応
◎ まとめ――職員同士の協力体制が下支えする緊急対応
第二部 毎日の保育をどう進めるか
1 保育現場における感染予防策の実際
――対策の工夫と検討課題 (野澤祥子)
(1) 登園・降園時の感染予防策
(2) 感染を広げないための環境整備
(3) 日常の保育の中で感染予防をどう進めるか
(4) 職員の感染予防・課題
◎ まとめ――自園にふさわしい感染予防と保育とのバランスをさぐる
2 コロナ禍での保育を支える職場づくり
――園内で取り組めるワークと共有しておきたい視点 (新保庄三)
(1) 「保育力=チーム力」の土台を築くワーク
(2) 新たなやり方が求められたとき――「行事をどうする?」を例に
関連情報
自著を語る『自園で新型コロナウイルスの感染者が出たとき』新保庄三先生 (ひとなる書房Youtube 2020年12月28日)
https://www.youtube.com/watch?v=vJRxX2REHbs
セミナー:
『自園で新型コロナウイルスの感染者が出たとき』~乳幼児の保育や教育に関わる方々の課題解決を支援~発刊記念オンラインセミナー (一般社団法人キッズライフラボ 2020年11月13日)
https://www.kidslife-nursery.com/lp/covid19-nuresery-webiner/