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細い木材のファサードの写真

書籍名

隈研吾 オノマトペ 建築 接地性

著者名

隈 研吾

判型など

256ページ、B5判

言語

日本語

発行年月日

2024年8月1日

ISBN コード

9784767833217

出版社

株式会社エクスナレッジ

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隈研吾 オノマトペ 建築 接地性

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AIに関する議論に参加することが多くなり、先日も松尾豊先生とコラボし、ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展という世界最大の建築イベントで、Domino 3.0というプロジェクトを発表した。その中での議論で、記号接地問題という言葉に出会って、自分がやりたかったことは、要するに記号として浮遊化してしまった建築を、しっかりと接地させることだということを発見した。
 
建築史を振り返ってみれば、20世紀初頭のモダニズム建築を一言で言えば建築を地面から切り離した記号として、マーケットで自由に販売しようという運動、あるいは革命であった。細い柱で建築を地面から切り離す「ピロティ」という手法は、モダニズムの本質が切断にあることを告白している。
 
その切断が、いかに人間の生活を貧しくしたかは、モダニズム以降の都市とそれ以前の都市を比較してみれば明らかである。では建築をどう再接地させればいいのか。
 
物理的に大地と実際につなぎ直す工夫が必要であり、そのためにランドスケープデザインの動員が必要であることは言うまでもないが、僕は記号としてのビジュアルインパクトのみをめざしていびつに進化した建築をもう一度人間の身体とつなぎ直す工夫もまた、接地性という概念に包含すべきと考えている。
 
ところが身体とつなぎ直す方法についてのヴォキャブラリーが、現状ではあまりに貧しいのである。モダニズム以前には、その部分がもっぱら装飾という領域に委ねられていたことが、一番の原因であると考えられる。装飾はさまざまなストーリーを携えて、身体と建築とを、正確に言えば、心とカラダと建築とを、しっかりと結びつけていたのである。しかし、モダニズムが装飾を敵と見做し、徹底的に排除したことによって、われわれは、接合の手立てもきっかけも、完全に失ってしまったのである。そのかわりにモダニズムが用意した垂直性、水平性、直方体、球などといった数学的ヴォキャブラリーは、あまりに貧しく、建築と身体はさびしく分割されたままに、放置されたのである。
 
その貧しい数学的あるいは工学的道具を超えるために、僕はオノマトペという曖昧な言語体系に着目し始めたわけである。
 
それは一見曖昧で主観的に見えるけれども、各言語の中のオノマトペを比較し、掘り下げていくと、その中に驚くほど豊かな科学性、国とか文化とかを超えて、人間の本質に迫る普遍性がひそんでいることが見えてきたのである。オノマトペにヒントをもらいながらデザインしている僕らの建築と並べて眺めてもらえると、オノマトペが全く未来的言語体系と感じられるに違いない。
 

(紹介文執筆者: 工学系研究科 名誉教授 / 特別教授室 特別教授 隈 研吾 / 2026)

本の目次

■本書収録の13のオノマトペと主な作品
 
1|ぱらぱら・・・・梼原 木橋ミュージアム、The Odunpazari Modern Art Museumほか5作品
2|さらさら・・・・ウォーター/チェリーほか2作品
3|ぐるぐる・・・・国立競技場、The Exchangeほか9作品
4|ぱたぱた・・・・浅草文化観光センター、アオーレ長岡ほか5作品
5|ぎざぎざ・・・・ちょっ蔵広場ほか2作品
6|ざらざら・・・・V&A Dundee、角川武蔵野ミュージアムほか5作品
7|つんつん・・・・雲の上の図書館 / YURURIゆすはらほか7作品
8|すけすけ・・・・グラス/ウッド・ハウスほか3作品
9|もじゃもじゃ・・・・まちの駅「ゆすはら」ほか3作品
10|ぺらぺら・・・・マルセイユ現代美術センター、エクサンプロバンス音楽院ほか5作品
11|ふわふわ・・・・高輪ゲートウェイ駅ほか4作品
12|ふにゃふにゃ・・・・New Interior for Casa Batlló Stairs & Atriumほか2作品
13|ずれずれ・・・・東京工業大学 Hisao & Hiroko Taki Plazaほか4作品
 

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