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紫色の表紙

書籍名

アジア研究図書館叢書 7 アジア研究図書館所蔵南アジア地域研究プロジェクト東京大学拠点 (TINDAS) 寄贈資料目録

著者名

河﨑 豊

判型など

81ページ、7種類以上の言語

言語

日本語

発行年月日

2025年3月1日

ISBN コード

9784910718088

出版社

東京大学附属図書館アジア研究図書館研究開発部門

出版社URL

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本書は、南アジア地域研究プロジェクト東京大学拠点 (以下、TINDASと称する) が収集した資料中、東京大学アジア研究図書館に寄贈された461点の資料の書誌情報を集約したものである。

大学共同利用機関法人である人間文化研究機構 (NIHU) は、2016年度から2021年度にかけて6拠点からなる「南アジア地域研究プロジェクト」を組織した。TINDASはその拠点のひとつであり、2021年度に活動が終了することに合わせて収集資料を受贈したものが本コレクションである。

TINDASの活動は、日本南アジア学会の学会誌『南アジア研究』第34号 (2022年) の特集「INDAS-South Asia 拠点報告」で詳しく報告されている。それによれば、TINDASは「インドを中心とする南アジア諸国における現在の経済発展を、長期の歴史的変動の中に位置づけ、南アジア的な発展の在り方を総合的に明らかにすることを目的として活動してきた」(19頁) ものであり、その活動を推進するために「「経済発展」、「歴史変動」、「教育と社会」の三つの研究班とそれらの連携を推進する「総括」班を設置し」(同) たという。

以上のようなTINDASの3つの研究テーマをこれらの寄贈資料群は反映し、南アジアの近現代史、経済、教育、社会の諸分野に関わるものが大半を占めている。またこれらの資料は、国内に所蔵のないものや、それぞれの分野にとって研究の基礎となるものを多く含む点で重要である。たとえばインド経済発展史の一大シリーズであるEconomic Developments in Indiaや、People’s linguistic survey of India、また2001年と2011年におけるインドのセンサスの行政区分を地図によって示したAdministrative Atlasは、当該分野の研究者にとっては必須の資料である。これらを含め、TINDASが収集した資料群が、学生・研究者諸氏に積極的に活用されることを期待したい。

近年のわが国の学術界では、長年研究を続けてきた教員や大きな学術プロジェクトが収集した資料が、図書館の狭隘化や予算・人材の不足により受贈を拒否された結果、それらが散逸あるいは海外へ流出し、国内の学術資産が失われるケースが大きな問題となっている。こういった研究活動はたいていの場合大なり小なり公金を投じて行われているから、国家資産喪失の点からみれば問題はより深刻である。

このような状況を踏まえた場合、今回これらの資料が散逸することなくアジア研究図書館に収蔵されたことの意義は、単にいち図書館の蔵書が充実したという事態にとどまらない。アジア研究図書館一館がなしうることには当然限界があるが、これからも資料の保全と学知の継承にわずかでも力を尽くす所存である。
 

(紹介文執筆者: 附属図書館 助教 河﨑 豊 / 2025)

本の目次


目次
はじめに (河﨑 豊)
凡例
目録
 

関連情報

アジア研究図書館叢書出版報告 (『アジア研究圖書館 (東京大学アジア研究図書館ニューズレター)』第20号p. 13. 2025年7月7日)
https://www.lib.u-tokyo.ac.jp/sites/default/files/150-UTARLNews_20_20250707.pdf

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