アジア研究図書館叢書 1 アジア研究図書館所蔵ユネスコ・アジア文化センター識字教育資料目録 1
133ページ
日本語、英語
2022年3月25日
978-4-910718-00-2
東京大学附属図書館アジア研究図書館研究開発部門
本書は、東京大学アジア研究図書館が所蔵するユネスコ・アジア文化センター寄贈識字教育資料コレクションの目録の第1巻である。アジア研究図書館は2020年に開館したばかりの学内で一番新しい研究図書館であり、アジア研究者である教員が運営の一端を担いながら、学内の諸部局からの移管、新規購入、寄贈の受入等により様々なアジア研究資料を収集している。
本コレクションは、公益財団法人ユネスコ・アジア文化センターから寄贈されたものであり、センターが1980年代からアジア太平洋地域において展開してきた識字教育事業に関する資料である。25カ国で収集された約3600点の資料から成り、文字を読み書きできない成人のための学校外 (ノンフォーマル) 教育の教材であることを特徴とする。こうした教材は、学校教育の教材と比べてまとまって保存されにくいため、大変貴重なコレクションである。教材の内容は、乳幼児の健康や栄養、農林水産業の知識、環境汚染、森林保全、母子保健、女性の識字教育の必要性など多岐にわたり、いずれも日常生活の改善に直接役立つよう工夫が凝らされた、情報豊かな資料群である。
本コレクションについて冊子体の目録を作成したのには理由がある。最大の理由は、現段階では各資料の書誌情報を東京大学OPACに登録することを断念したためである。というのも、コレクションには、図書以外にポスター、リーフレット、手作りの教材、双六などのおもちゃが多数含まれており、図書のようにタイトルや著者が記載されているとは限らないため、OPACに登録することが困難であったからである。また、多様な形態の資料を含むこと自体がこのコレクションの特徴の一つでもあるため、目録に資料画像を掲載することにより、どのような資料かをわかりやすく示すことができるという利点があった。何よりも本コレクションの全体像をつぶさに示すことができると考えた。
コレクションの中の興味深い資料群をいくつか挙げておきたい。英語版のマスター教材を元に言語と挿絵をその国に合わせて編集した各国版が多く含まれている。例えば、女性の識字教育の重要性を訴える教材の各国版を見比べると、言語表現の違いはもちろんのこと、挿絵から、服装、家族のありかた、生活習慣など様々な文化の違いを比較することができる。また、各国の少数民族言語の資料や、言語によっては正書法が確立途上の時期に発行された資料が含まれており、言語研究にも役立つだろう。このように、本コレクションは、アジア研究図書館の特徴あるコレクションの一つに数えられることになるだろう。
本書はコレクションのうちの2021年度に整理を終えた5カ国分 (アフガニスタン、中国、イラン、モンゴル、ウズベキスタン) 519点の目録を収録する。今後、残る約3000点を東南アジア編と南アジア編に分けて刊行予定である。
(紹介文執筆者: 附属図書館 准教授 河原 弥生 / 2023)
本の目次
目次 / Contents
解説 / Introduction
凡例 / Notes
目録 / Catalog
1. Afghanistan
1-1. English
1-2. Persian
2. China
2-1. Chinese
2-2. English
2-3. Sichuan Yi
3. Iran
3-1. Arabic
3-2. English
3-3. Persian
4. Mongolia
4-1. English
4-2. Mongolian
4-3. Russian
5. Uzbekistan
5-1. Uzbek
関連情報
https://www.lib.u-tokyo.ac.jp/ja/library/asia/collectionall/accuguide
オンキャンパスジョブ事業の実施報告
https://www.lib.u-tokyo.ac.jp/sites/default/files/150-UTARLnews_07_20220401.pdf
展示とセミナー:
【アジア】「識字教育資料からアジアの社会をみる:ユネスコ・アジア文化センター寄贈コレクション」展と記念セミナー開催 (東京大学総合図書館 2023年11月)
https://www.lib.u-tokyo.ac.jp/ja/library/asia/event/20231109