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低温重力波レーザー干渉計CLIOによる熱揺らぎ低減の実証  

掲載日:2012年2月29日

独自に開発を進めてきた鏡を約-250度に冷却する技術を用いて、重力波の検出を目的としたレーザー干渉計の鏡表面の熱揺らぎを世界で初めて低減し、感度の向上を実現しました。

CLIO用クライオスタット(低温真空容器)と100mトンネル © Telada

熱揺らぎによる鏡の表面の不規則な振動は、レーザー干渉計を使った重力波検出器やFabry-Perot光共振器を用いたレーザー周波数の安定化等の精密測定の精度に原理的限界を与えます。

今回、東京大学宇宙線研究所を中心とする研究チームは、神岡鉱山(岐阜県飛騨市)内部に建設された干渉系型重力波検出器CLIO(Cryogenic Laser Interferometer Observatory)の単結晶サファイアで製作された鏡2枚を約-250度に冷却し、その鏡の熱揺らぎの低減に成功しました。室温の鏡の熱揺らぎによって制限されていたCLIOの感度は、この鏡の冷却による熱揺らぎの低減により、理論予測と一致する改善を示しました。

今回の成果で実証された、鏡を極低温に冷却する技術は、神岡で建設が進められている干渉系型重力波検出器KAGRAにも実装され、世界初の重力波検出につながる感度の実現が期待されます。

論文情報

Takashi Uchiyama, Shinji Miyoki, Souichi Telada, Kazuhiro Yamamoto, Masatake Ohashi,Kazuhiro Agatsuma, Koji Arai, Masa-Katsu Fujimoto, Tomiyoshi Haruyama, Seiji Kawamura,Osamu Miyakawa, Naoko Ohishi, Takanori Saito, Takakazu Shintomi, Toshikazu Suzuki,Ryutaro Takahashi, Daisuke Tatsumi,
“Reduction of thermal fluctuations in a cryogenic laser interferometric gravitational wave detector”,
Accepted for publication in Physical Review Letters,
arXiv:1202.3558 (Submitted on 16 Feb 2012)
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