室温において乾電池程度の電圧で電気的性質と結晶構造をスイッチ 電界効果で固体全体の性質を変える「相転移」に成功

強相関酸化物と電気二重層を用いた新しい電界効果トランジスタを開発し、固体の‘表面’に乾電池程度の電圧をかけて電荷を貯めると、固体‘全体’の電気的性質および結晶構造が変化する新現象を発見しました。これは、理研基幹研究所(玉尾皓平所長)強相関量子科学研究グループ強相関複合材料研究チームの中野匡規特別研究員、岩佐義宏チームリーダー(東京大学大学院工学系研究科教授)、強相関界面デバイス研究チームの川崎雅司チームリーダー(同教授)、十倉好紀グループディレクター(同教授)らによる研究成果です。この成果は、次世代の超低消費電力スイッチング素子の実現に新しい道筋を示すだけでなく、不揮発性メモリや光スイッチなどへの応用をも視野に入れることになります。
論文情報
M. Nakano, K. Shibuya, T. Hatano, S. Ono, M. Kawasaki, Y. Iwasa, and Y. Tokura,
“Collective bulk carrier delocalization driven by electrostatic surface charge accumulation” ,
Nature 487, 459 (2012). doi: 10.1038/nature11296.
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