超高精度な光位相追跡に成功 古典物理学的限界を超え、光通信・計測の超高性能化へ道
東京大学大学院工学系研究科の古澤明教授と米澤英宏特任講師らは、位相雑音を小さくした位相スクイーズド光生成技術とフィードバック制御技術を組み合わせた「超高精度な光位相追跡技術」を開発し、古典物理学的限界を超えて、ダイナミックに(大きな変動幅で時間的に)変動する光位相の超高精度測定に世界で初めて成功しました。さらにこの研究では、超高精度な光位相追跡において、ハイゼンベルクの不確定性に由来する真の限界である量子力学的限界の存在も初めて明らかにしました。
光の位相測定の応用分野は、長さの超精密測定、光の位相に情報を載せる超大容量コヒーレント光通信、究極の安全性を実現する量子暗号など、多岐に亘ります。今回の成功はこれら応用分野に大きな波及効果をもたらすものと期待されます。
本研究はオーストラリアのグリフィス大学、ニューサウスウェールズ大学、クイーンズランド大学、マッコーリー大学などとの共同研究による成果で、科学技術振興調整費「先端融合領域イノベーション創出拠点の形成」プログラムなどの支援のもとに行われました。
論文情報
Hidehiro Yonezawa, Daisuke Nakane, Trevor A. Wheatley, Kohjiro Iwasawa, Shuntaro Takeda, Hajime Arao, Kentaro Ohki, Koji Tsumura, Dominic W. Berry, Timothy C. Ralph, Howard Wiseman, Elanor Huntington, Akira Furusawa,
“Quantum-Enhanced Optical-Phase Tracking”,
Science 337 (2012): 1514-1517, doi: 10.1126/science.1225258.
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