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究極の昆虫ロボット 昆虫の優れた能力がロボットで明らかに

掲載日:2013年3月14日

生物の優れた能力を工学的に応用することを生体模倣技術(バイオミメティクス)といい、新しいものづくりへの可能性を秘めています。特に私たちの周囲に多く見られる小さな昆虫は、シンプルな神経系でありながら多彩な行動を行い、様々な環境に適応しています。昆虫の行動のしくみを明らかにし、応用することで、環境の変化に強い適応的なシステム,特に災害地など想定の難しい環境で自律的に活動する移動ロボットへの貢献が期待されています。しかし、生物のしくみを明らかにすることは簡単なことではなく、それゆえ、目指す先の「昆虫模倣型ロボット」がどのような能力を発揮できるのか、少なくとも期待に沿うものであるか全く想像ができません。

昆虫操縦型ロボット ©  Kanzaki-Takahashi Lab

昆虫操縦型ロボット © Kanzaki-Takahashi Lab

東京大学先端科学技術研究センターの神崎亮平教授(生命知能システム)らは、昆虫自身が目となり鼻となり、そして操縦する「昆虫操縦型ロボット」を開発し、その能力を調べました。これは運転手に雄カイコガを採用することで、雌性フェロモンの匂いを探し当てる「匂い源探索ロボット」として機能します。このロボットは匂い物質(フェロモン)の流れる風洞内で100%の成功率で匂い源に定位しましたが、進行方向に対してずれた動きをするような操作を加えても、視覚や嗅覚のフィードバックを用いて進路を補正し、80%以上の成功率で匂い源にたどり着きました。

この結果は、生体模倣技術研究が目指す「昆虫模倣型ロボット」の具体的な性能、とりわけ状況の変化に対する高い適応能力を示すものであり,故障などの困難な場面でも高い適応性を発揮してさまざまな場面で活躍できる自律移動ロボットの開発への貢献が期待されます。

論文情報

Noriyasu Ando, Shuhei Emoto and Ryohei Kanzaki,
“Odour-tracking capability of a silkmoth driving a mobile robot with turning bias and time delay”,
Bioinspiration & Biomimetics 8 2013: 016008, doi: 10.1088/1748-3182/8/1/016008.
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先端科学技術研究センター 生命知能システム分野 神崎-高橋研究室

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