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言語の文法処理を支える3つの神経回路を発見 文法障害に伴う脳活動の変化を解明

掲載日:2014年2月20日

従来は人間の言語を支える脳の仕組みは、左脳の言語中枢しか知られておらず、言語障害が生ずるメカニズムは良く分かっていませんでした。

© Sakai Lab 文法障害とは、文法的な文などを構成する能力が低下する障害です。図には、絵と文のマッチング課題に使用した視覚刺激(4つの例)、絵と文のマッチング課題を実施した健常者対照群と3つの患者群の異なる脳活動パターン(左脳)と脳内の3つの文法関連ネットワーク(赤・緑・青の神経線維束)の投影図を示しています。

東京大学 大学院総合文化研究科の酒井 邦嘉 教授らの研究グループは、左前頭葉に脳腫瘍がある患者の脳の構造と機能について、磁気共鳴画像法(MRI)装置と日本語の文法能力テストで詳細に調べることで、脳腫瘍の部位により異なるタイプの言語障害(特に文法障害)が生じることを明らかにしました。また、言語の文法処理を支える神経回路が3つ存在し、大脳の左右半球と小脳を含む広範なネットワークを形成するということを初めて明らかにしました。

本成果は、言語障害の治療とリハビリの改善に役立つことが期待されます。

本研究は昭和大学 横浜市北部病院の金野 竜太 講師、東京女子医科大学 先端生命医科学研究所の村垣 善浩 教授らと共同で行われ、本研究成果は、平成26年2月11日(英国時間)に英国科学誌「Brain」のオンライン速報版で公開されました。また、本研究はJST 課題達成型基礎研究の一環として行われました。

プレスリリース (JST)

論文情報

Ryuta Kinno; Shinri Ohta; Yoshihiro Muragaki; Takashi Maruyama; Kuniyoshi L. Sakai,
“Differential reorganization of three syntax-related networks induced by a left frontal glioma”,
Brain Online Edition: 2014/2/11, doi: 10.1093/brain/awu013.
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