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東京大学中央食堂の絵画廃棄処分について

掲載日:2018年5月8日

 東京大学中央食堂は、東京大学140周年記念事業の一環として、老朽化が著しかった内装の全面改修工事及び厨房機器一式の取替を行い、2018年3月末に完成して皆様にご利用いただいているところです。ところが一部マスコミ等でも報道されたように、1977年の竣工時から約40年にわたって食堂の壁面に展示されていた宇佐美圭司氏の絵画作品が、改修工事の過程において廃棄処分とされていたことがこのほど判明いたしました(詳細な経緯につきましては、東京大学消費生活協同組合のホームページに掲載されている「東京大学中央食堂の絵画廃棄処分についてのお詫びと経緯のご報告」をご覧ください)。

 この絵画の所有権は東大生協にあり、東京大学の資産管理下にはありませんでしたが、工事の監修にあたった本学の教授は、作品を保存するべきであるという立場から、打ち合わせの段階で、意匠上も機能上も問題のない新たな設置場所を具体的に指定しておりました。ところがそのことが関連の会議では情報として適切に共有されず、絵画をそのまま残して設計を変更するか、作品を廃棄するしかないという誤った認識のもとで、所有権者である東大生協が廃棄処分の判断を下したというのがおおよその経緯です。廃棄処分は2017年9月14日に行われましたが、そのことが大学側には伝えられないまま、中央食堂の利用者から指摘があるまで半年以上の時間が経過してしまいました。

 当該作品が東京大学内の公共空間に設置されていた貴重な芸術作品である以上、所有権の如何に関わらず、大学側としてもその文化的価値についての認識を全教職員が共有し、情報の伝達に万全を期して細心の注意を払うべきでした。かかる事態に至ってしまったことは痛恨の極みであり、慙愧に堪えません。作品の保存可能性について正確な情報が共有されなかったこと、また現場の議論の流れで最終的な処分の決定を生協に委ねたために取り返しのつかない結果を招いてしまったことについては、本学にも少なからず責任があると認識しており、深く反省しております。宇佐美圭司氏のご遺族・関係者の皆様を初め、お問い合わせをいただいた多くの皆様、そしてこの貴重な作品に触れる機会を失ったすべての方々に、心よりお詫び申し上げます。


 東京大学では今回の事態を重い教訓として受けとめ、今後は同様な過ちを二度と繰り返さぬよう、学内に存在する数多くの学術文化資産について関係者間での正確な情報共有を徹底し、適切な保存・管理に一層の努力を重ねて参る所存です。


 2018年5月8日

東京大学理事・副学長               
石井洋二郎(奨学厚生担当)
小関  敏彦(施設担当)       



東京大学中央食堂の絵画廃棄処分について[PDF]
 

対象者: 社会人・一般 / 在学生 / 受験生 / 留学生 / 卒業生 / 企業


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