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第6回東アジア史料研究編纂機関国際学術会議への参加

掲載日:2018年11月16日

 2018年10月15日・16日、北京で中国社会科学院近代史研究所主催により、第6回東アジア史料研究編纂機関国際学術会議が行われました。この学術会議は史料編纂所(日本)、国史編纂委員会(韓国)、社会科学院近代史研究所(中国)を幹事機関として、各国の史料編纂に関わる機関・研究者等が集まり、2年に1度、回り持ちで開催されているものです。前回は2016年11月、ここ東京大学で、東京大学IIRC会議として史料編纂所主催・日本学士院主催で行われました。
 
今回の学術会議では、「史料修復及び歴史資料のデータ化とその研究」を全体テーマとし、①史料調査とデータベース化、②史料調査と史料研究、③史料の修復の3つの主題のもとに各国から5本ずつ、計15本の報告がなされました(報告題一覧は下部に掲載)。中国側は社会科学院近代史研究所の王建朗所長をはじめ18名、韓国側は国史編纂委員会の趙珖委員長をはじめ10名、日本側は史料編纂所保谷徹所長をはじめ11名が参加しました。
各報告は事前に三カ国語に訳されて約500頁の予稿集が作成され、当日は同時通訳がつきました。修復事業やDB作成事業、あるいは地方における史料収集事業などに関わり、三国の史料研究機関がかかえている課題には共通点も多く、通訳の助けのもと、熱心な質疑応答や情報交換が行なわれ、充実した時間となりました。また17日には中国第一歴史档案館、19日には南京に場所を移して中国第二歴史档案館の修復作業とデジタル化の現場を見せていただき、会議の内容と相まって現場でも熱心な応答が重ねられました。

このほか北京では中国社会科学院考古研究所コレクション陳列館・近代史研究所档案館・故宮博物院、南京では中山陵・明孝陵・総統府の見学が組まれ、中国の歴史の長さを感じつつ、各国の参加者と友好を深めることができました。また会議終了後、幹事機関による理事会が行なわれ、2年後は韓国ソウルで第7回を開催予定であることが確認されました。回を重ねるごとに、三国の研究機関の連携と友情がより深まって行くのを感じます。継続は力なり。
 
学術会議の報告一覧
朴成鎬(韓国学中央研究院)「韓国歴史資料データベース(DB)の開放性と効果」/浅井良亮(国立公文書館アジア歴史資料センター)「アジア歴史資料センターの新しい課題と取り組み」/羅敏(中国社会科学院近代史研究所)「「データ」と歴史研究―抗日戦争と中日関係文献データプラットフォームについて」/林学成(仁荷大学韓国学研究所)「韓国近代戸籍資料の収集現状とデータベース建設の成果―韓国国史編纂委員会が集めた日本所蔵の戸籍資料を中心として」/宋容徳(韓国国史編纂委員会)「韓国国史編纂委員会高麗時代史料情報化の現状」/張龍経(韓国国史編纂委員会)「韓国国史編纂委員会の地域史資料収集活動の紹介及び、地域史と国家史との関係」/榎原雅治(東京大学史料編纂所)「地震史料の収集と地震研究への貢献」/洪性徳(全州大学)「近現代儒学者による歴史資料の収集及び社会関係ネットの分析設計」/孫莉(中国第二歴史档案館)「レプリカ製作の意匠―文書生命の継続」/深澤秋人(沖縄国際大学)「尚家文書の全体像と現状―東京尚家邸の目録と史料群の伝来―」/須田牧子(東京大学史料編纂所)「日本所在明国兵部箚付原本について」/高島晶彦(東京大学史料編纂所)「古文書(原本史料)の保存修理について」/楊軍(中国第一歴史档案館)「中国第一歴史公文書館明・清公文書の修復」/李英(故宮博物院図書館)「故宮蔵書の保護と修復」/朱振彬(国家図書館古籍分館)「善本古書の修復について―国家図書館所蔵『天禄琳琅』の貴重古書を例として―」

写真1 会議の様子(於近代史研究所)


写真2 報告する榎原氏


写真3 修復作業現場の見学(於中国第二歴史档案館)


 
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