東京大学、日ハンガリーと先進安全、防災分野で協力合意
実施日: 2017年05月19日 |
東京大学は5月19日、宇宙に由来する素粒子ミューオンを用いた革新的透視技術を用いた社会インフラの安全性向上と自然災害の防災および軽減に向けてハンガリー大使館において開催された「ミュオグラファーズ2017: IM2Nシンポジウム」の中で、日ハンガリーのパートナーとの合意書にサインしました。ミュオグラフィとして知られるこのイメージング技術は火山以外にも道路、線路、橋梁などの大型構造物内部の劣化状態の調査を可能にします。 この合意は、本学地震研究所とハンガリー科学アカデミーウィグナー物理学研究センターとの間で2015年、2016年にそれぞれ締結された学術交流協定及び知的財産協定に続くものです。そして、今この最終フェーズにおいて、ICT分野で世界をリードするNECがその先進人工知能技術を使ったデータ解析を通して、輸送の安全確保や防災分野でソリューションを探すことで、ミュオグラフィに社会価値を加えます。 物質移動並びにライセンス合意書が小原一成地震研究所長、ピーター・レヴァイウィグナー物理学研究センター総裁、そして田熊範孝NEC交通都市基盤事業部長によって大使館で調印されました。 ノーベルト・パラノビッチ大使による開会あいさつに続き、火山内部を世界で初めてイメージングした地震研究所の田中宏幸教授がミュオグラフィの最近の国際動向について述べました。直接穴をあける必要がないこの技術は、火山以外にも放射性廃棄物の調査、氷河のモニタリング、歴史遺産の研究などを目的として、世界的に使われています。今では、火山内部のマグマ動態イメージもとらえられることについても田中教授は触れました。 次に、ウィグナー物理学研究センターのデジェ・ヴァルガ博士が同センターで開発された検出器について、特別な目的や環境に合うよう洗練され、遠隔地に設置されたことを紹介しました。この日ハンガリープロジェクトを通して、最先端の低バックグランドミュオグラフィ観測システムが生まれ、西南日本に位置する桜島に設置されました。過去二か月間安定的にデータが取得され、今でも、高い信頼性で稼働しています。 科学者たちによるプレゼンテーションの後、小原所長、レヴァイ総裁、そして田熊事業部長がそれぞれの組織について協働に向けた見地を述べました。 調印式に続くレセプションでは、相原博昭大学執行役・副学長がこの新しい産学連携を祝して乾杯を提唱しました。 パラノビッチ大使はこの新たな協働がルービックキューブ、安全マッチ、ダイナモなど他のハンガリーの科学イノベーションの歴史に続くものとなることを望むと締めくくりました。 左からピーター・レヴァイウィグナー物理学研究センター総裁、田熊範孝NEC交通都市基盤事業部長、そして小原一成地震研究所長。物質移動及びライセンス合意書へ調印を終え、握手をする様子。
左から田中宏幸地震研究所教授、相原博昭大学執行役・副学長、田熊範孝NEC交通都市基盤事業部長、小原一成地震研究所長、ノーベルト・パラノビッチハンガリー大使、ピーター・レヴァイウィグナー物理学研究センター総裁、ギョルギ・ユハース科学担当参事官、デジェ・ヴァルガウィグナー物理学研究センターグループリーダー。
相原博昭大学執行役・副学長が新たな産学連携を祝して提唱する乾杯。
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