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地域に学び、日本を知るフィールドスタディ型政策協働プログラム | 広報誌「淡青」35号より

掲載日:2017年12月11日

実施日: 2017年09月08日

淡青色のローカルプロジェクト5
 
地域に学び、日本を知る
フィールドスタディ型政策協働プログラム
地方自治体とオール東大による現地活動型連携事業

東京大学は、学生を主役とする新しいプログラムを開始しました。地方自治体と手を組み、社会的課題に果敢に挑戦する人材を育成しようというものです。賛同してくれたのは、北は青森、南は鹿児島までの10県。45人の学生が参加し、多くの教職員の支援を受けて進むプログラムの一端を、県の皆さんのコメントつきで紹介します。  

ワークショップ当日、ひと足先に宮崎県に出発する学生に石井理事・副学長からメッセージが渡されました。

鳥取県チームのテーブル。湯梨浜町のマスコット「ゆりりん」も話題になっていました。

1年をかけて取り組むこのプログラムは、まず、地方自治体が抱えている課題を投げかけてもらうことから始まります。それを受けた学生は、担当教員や仲間とともに6回に及ぶワークショップを行い、参考資料にあたるなどして事前調査を行った後、担当する地域に滞在し、現場を奔走しながら現状を体験・把握します。そして、大学に戻り、自ら対策を考えるとともに、今度は学内の知見を有する教職員間を奔走しながら、問題解決の糸口を探り出します。こうした、事前調査→現地活動→事後調査のサイクルで、問題解決の道筋の提案につなげるわけです。

7月13日には5回目のワークショップが本郷で行われ、各県を担当する学生3~6人が担当県ごとの分科会に分かれて事前の協議を繰り広げました。高知県のテーブルでノートPCを開いていた三浦駿人さん(文I)は、コミュニティデザインのゼミで紹介されたのがきっかけでプログラムに志願。高知県を選んだのは、「自分にとって一番知らない土地で、完全アウェイの状況に身を置きたいと思ったから」だとか。向かいの席で現地滞在時の旅程を練っていたのは、高柳佳織さん(工学部)。世界の貧困をなくす、という将来の大きな目標に近づくため、「様々な現場によそものとして入る訓練がしたい」と考えて参加したそうです。

「奔走」をキーワードに東大の学知と地域を学生が結ぶこの試みは、活動の真っ最中。地域と学内を走り回っている若者たちをご支援ください。
 
活彩あおもり
 青森県

●十和田市
自然保護と利活用を両立する共生社会づくり
●五所川原市
サイクルツーリズムによる観光振興

 
「今回、日本一の大学と青森をリンクさせる好機だと思って参画しました。理論先行型の学生が多いのかと思っていましたが、違いました。話してみると、むしろ気持ちで動いてくれる若者たちだと感じます。私たちには若い力が必要です。ケッパレ(がんばれ)、東大生!」
 

鈴木 秀さん
青森県企画政策部
地域活力振興課
ほっと石川
 石川県

●珠洲市
芸術祭から里山里海地域の未来を展望する
●能登町
「イカの駅」の体験メニューなどを提案
●能登町
のと鉄道と能登の資源を活用した魅力向上
「東大生の印象は「熱意があって面白い」。彼らとなら課題に対してともに挑戦したくなります。海に潜ったり、祭りに参加したり、いろいろな能登を体験してほしいですね。メッセージは「まんでーもっしーとこやし楽しまんかいね」(とても楽しいところだから~)です」
灰谷貴光さん
石川県能登町
企画財政課
地域戦略推進室
幸福日本一ふくい
 福井県

●経営参画型インターンシップ
●地域おこし活動の企画・実践
●地域貢献スキームの検討
「東大生はよく勉強しているし、熱い思いがあると感じます。まじめなだけでなく、思いをしっかり言葉にしてくるという印象も。東京に住みながら福井とつながって継続的に課題を解決するスキームづくりという難しい課題もクリアしてくれるかも、と期待しています」
岡本圭史さん
福井県総合政策部
ふるさと県民局
若者・定住支援課
富士の国やまなし
 山梨県

●南アルプス市芦安地区、甲州市大和地区、笛吹市芦川地区
過疎地域の魅力再発見と地域活性化
「学生さんたちは、好青年だな、よく勉強しているな、という印象です。やる気がひしひしと伝わってきます。社会やビジネスに染まっていない視点での提案、直感したことをそのまま提案することを期待しています。山梨と東京をつなぐパイプ役になってください」
米山太介さん
山梨県南アルプス市
市民部芦安
窓口サービスセンター
しあわせ信州
 長野県

●戸倉上山田温泉
老舗温泉街の活気を取り戻せ
「学生に参考情報を送ったら、すぐに知識量で追い越され、さすが東大生!と感心しました。また、フットワークの軽さにもビックリ!お祭りがあるよと言ったら、全員が駆けつけてくれて地元の方々と一緒に盛り上げてくれました。私も知らないキーパーソンを見つけてほしいです!」
倉根明徳さん
長野県
建設部都市・
まちづくり課
ええとこやんか三重
 三重県

●尾鷲市九鬼町
漁村の未来をつくる市民大学設立の支援
「ワークショップでは資料を的確にまとめていて、東大生はやはり優秀だと思いました。都会育ちの若者が現地に来るとギャップを感じるかもしれませんが、彼らが地元の人と話すだけでも地域は元気になるはず。東大生と住民の双方に新しい発見があることを期待します」
今西康裕さん
三重県
地域連携部
南部地域活性化局
小さくても勝てる
 鳥取県

●湯梨浜町
CCRC※形成に向けた提案と地域の魅力発信

※Continuing Care Retirement Communityの略。
「CCRCを知っていて、興味を示してくれたこと自体うれしいです。少子高齢化・人口減の問題をきちんと捉えていたのはさすがです。せっかくの機会ですから、「生涯活躍のまち」を目指す湯梨浜町の現場に入り込み、地方創生の実践にまで踏み込んでほしいですね」
伊藤晶子さん
湯梨浜
まちづくり株式会社
高知家はひとつの大家族やき。
 高知県

「集落活動センター」の活動に関するフィールドワーク
●佐川町
林業×ものづくり×観光の連携体制に向けた提案
●越知町
越知町キャンプ場を核とした地域活性化
「一次産業が中心となる高知では、中山間地にあるコミュニティの活性化が重要です。県内の集落活動センターの活動を続けていくため、外からの視点、若い人の知恵を貸してほしいと思います。学生さんの日程案を見たら休日0で組んでいて、熱意を感じました!」
 

樋口裕也さん
高知県中山間
振興・交通部中山間
地域対策課
日本のひなた
 宮崎県

●綾町
ユネスコエコパークの知名度アップ
●椎葉村
平家落人伝説の村を持続可能社会にするモデル構築
「東大生は予想通り頭がいいですね。予想と違ったのは接しやすかったことです。もっと気むずかしいイメージを持っていましたけど。私たちは手詰まり感を持っています。東大の頭脳を借りて「どげんかせんといかん」この現状を打破する突破口を見つけたいですね」
兒玉良次さん
宮崎県綾町役場
ユネスコエコパーク
推進室
新しい力強い鹿児島を目指して
 鹿児島県

肥薩おれんじ鉄道を活かした地域づくり
「いいものがあっても地元の人は気づきにくい場合があります。鉄道沿線を歩いたり、地元の人とやりとりをして、いいものを掘り起こしてもらいたいです。おれんじ鉄道を活かした地域づくりに何かひねり出してくれそうな雰囲気を感じています。キバレ、東大生!」
上片野柳二さん
鹿児島県
企画部交通政策課
 
担当教員
玄田有史(社会科学研究所教授) 青森県、鹿児島県
宇野重規(社会科学研究所教授) 三重県、高知県
五百旗頭薫(法学政治学研究科教授) 石川県、福井県
小国喜弘(教育学研究科教授) 長野県、宮崎県
阿部祐子(産学協創推進本部プログラムオフィサー) 山梨県、鳥取県
 
プログラムの活動スケジュール
4月 参加自治体によるオリエンテーション
6月~7月下旬 ワークショップ(6回程度)
8月~9月 現地活動【地域奔走】(概ね8月20日~9月20日内を想定)
10月~12月 事後調査【学内奔走】(活動地域と大学を繋ぐ活動の実施)
12月 課題解決の道筋提案の着手
1月 道筋提案について、学内の専門知によるブラッシュアップ
3月 報告会

※本記事は広報誌「淡青」35号の記事から抜粋して掲載しています。PDF版は淡青ページをご覧ください。

 


4月に記者会見で手を合わせる、(左から)岡崎鳥取県東京本部本部長、西川福井県知事、五神総長、石井理事・副学長、玄田社会科学研究所教授。
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