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構造生理学部門 河西春郎教授が恩賜賞・日本学士院賞を受賞

掲載日:2022年3月23日

2022年3月14日に、河西春郎教授(大学院医学系研究科 附属疾患生命工学センター 構造生理学部門、ニューロインテリジェンス国際研究機構)が「大脳シナプスの形態可塑性法則の発見」で恩賜賞・日本学士院賞を授与されることが決定しました。

日本学士院における授賞制度は、明治43年に創設され、学術上特にすぐれた論文、著書その他の研究業績に対して授賞を行っております。恩賜賞は、日本学士院賞の中より推選され、重ねて授与されるものです。

<恩賜賞・日本学士院賞 受賞理由>
研究題目:大脳シナプスの形態可塑性法則の発見
河西 春郎 教授は、大脳の神経細胞間の興奮性結合を担うスパインシナプスが、学習に伴って素早くその形態と機能を変えることを発見し、スパイン形態やその運動と脳機能や精神疾患との関連を明らかにしました。まず、2光子励起顕微鏡をケイジドグルタミン酸に適用して、スパイン形態が機能と強く連関すること、刺激によりスパイン形態が長期増大してシナプス機能も持続的に増強することを見出しました。このスパイン形態増大過程において、増大の力は筋肉の収縮力に匹敵し、BDNFやタンパク質合成が関係し、ドーパミンの強い修飾を受けることを示しました。また、頭部増大の速い相では、スパインは軸索終末を力学的に押しその機能を20分間増強すること、更に自発的な揺らぎ運動によりスパインは生成消滅を起こし、この過程がスパイン体積分布を決めていることを明らかにしました。このように、河西教授は大脳のシナプスが化学伝達を担うだけでなく、形態可塑性法則に従って運動することを見出し、この分野の発展に世界的な貢献をしました。

<今後の抱負・感想>
大脳のスパインシナプスの運動性やその法則性をご評価いただいたもので、大変光栄に思うと同時に、多くの共同研究者、東京大学や関係諸機関に深く感謝いたします。
これを励みに、シナプス運動性の脳機能における役割の解明を更に進められればと思います。

https://www.japan-acad.go.jp/japanese/news/2022/031401.html#001

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