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小室一成教授らが文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)を受賞

掲載日:2022年5月11日

大学院医学系研究科 循環器内科学の小室一成教授、先端科学技術研究センターの油谷浩幸シニアリサーチフェロー(名誉教授)、大学院医学系研究科 循環器内科学の野村征太郎特任助教が、令和4年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)を受賞しました。

科学技術賞(研究部門)は、我が国の科学技術の発展等に寄与する可能性の高い独創的な研究又は開発を行った研究者が対象となります。
   
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左から、先端科学技術研究センター 油谷浩幸シニアリサーチフェロー(名誉教授)、
大学院医学系研究科 循環器内科学 小室一成教授、同 野村征太郎特任助教

受賞内容

業績名

1細胞解析による心不全の病態解明と精密医療に関する研究

業績

心不全はあらゆる心臓疾患の終末像であり、世界中で多くの人の命を脅かしていますが、その分子機序が明らかでないため、病態に基づいた診断・治療法が確立されていません。心臓には様々な細胞が存在するため、細胞レベルの分子機序を時空間的に解析する技術が求められてきました。

本研究では、心臓組織から単離した個々の細胞に含まれる全てのRNA情報を読み取る1細胞RNA-seq解析技術を世界で初めて開発し、マウス病態モデルおよびヒト心不全患者の心臓に含まれるあらゆる細胞種の1細胞レベルの全遺伝子発現情報を取得しました。

本件研究により、負荷を受けて肥大した心筋細胞から、DNA損傷・p53シグナルが活性化した不全型心筋とELK1/4・NRF1/2シグナルが活性化した代償型心筋の2種類に分岐することがわかり、単一と考えられてきた心筋の不均一性が明らかとなりました。さらに、致死性不整脈をっ有する心不全患者で特徴的に認められるドパミンD1受容体陽性心筋を同定し、それがリアノジン受容体のリン酸化を介した細胞内カルシウム挙動の異常を惹起することを解明しました。

.本成果は、心筋細胞のDNA損傷やドパミンD1受容体に基づいた心不全の層別化や治療法の開発に寄与するだけでなく、1細胞RNA-seq解析で解明された心不全の病態に基づく精密医療の実現に寄与することが期待されます。

主要論文

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