高山誠司名誉教授が、公益財団法人藤原科学財団より第66回藤原賞を受賞


本研究科の高山誠司名誉教授(写真中央)が、公益財団法人藤原科学財団より第66回藤原賞を受賞されました。
藤原賞は、「日本の製紙王」と称された藤原銀次郎氏の寄附をもとに設立された藤原科学財団が、日本の科学技術の発展に卓越した貢献を果たした研究者に授与する権威ある賞です。1960年の第1回以来、ノーベル賞やフィールズ賞受賞者を含む優れた研究者が歴代の受賞者に名を連ねています。高山名誉教授は、有性生殖における「種間不和合性」および「自家不和合性」という二つの生殖障壁機構を解明されました。これらは、「種の多様性」および「種内の遺伝的多様性」の獲得と維持において極めて重要な役割を果たすものです。特に、植物が自己と非自己を識別する仕組みについて、リガンド―受容体型や毒―解毒剤型など、多様な分子機構により決定されることを明らかにされました。これらの成果は、従来の常識を覆すコペルニクス的発見と評価され、自家不和合性には従来知られていた「自己排除型」に加え、「非自己受容型」という根本的に異なる仕組みが存在することを初めて示しました。この知見は、現在では植物学の主要教科書にも取り上げられています。さらに、これらの基礎的研究成果は、生命現象の本質的理解に寄与しただけでなく、生態系における多様性の保全、F1ハイブリッド種子生産技術の高度化、種間雑種作出技術の開発促進など、応用面においても多大な影響をもたらしています。
今回の受賞は、こうした一連の研究成果が「自家不和合性および種間不和合性を介した植物多様性獲得機構に関する研究」として高く評価されたものです。
なお、本研究科における藤原賞の受賞は、薮田貞治郎名誉教授・住木諭介名誉教授(第1回)、坂口謹一郎名誉教授(第7回)、有馬啓名誉教授(第25回)、鈴木昭憲名誉教授(第37回)、森謙治名誉教授(第39回)、磯貝明特別教授(第58回)に続く栄誉となります。