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国際研究集会「合戦のイメージ形成から実像を考える」を開催

掲載日:2019年2月22日

 2019年1月26日(土)、史料編纂所(保谷徹所長)では、科学研究費補助金「戦国軍記・合戦図屏風と古文書・古記録をめぐる学際的研究」(研究代表者堀新氏・共立女子大学)と主催して、国際研究集会「合戦のイメージ形成から実像を考える」を開催いたしました。この研究集会は、史料編纂所で取り組んできた特定共同研究「戦国合戦図の総合的研究」および同所画像史料解析センタープロジェクト「長篠合戦図屏風プロジェクト」の研究成果を盛り込むもので、日本史上のさまざまな合戦とそれを記した後世の作品(軍記物や絵巻・屏風など)について、計6本の研究報告とパネルディスカッションが行われました。

 当日は、まず第I部「軍記の成立」で、林晃弘氏(史料編纂所)「『東西合軍記』と『慶長治乱記』」、湯浅佳子氏(東京学芸大学)「関ケ原合戦軍記本文の生成-牛一・林家から『慶長軍記』へ-」、金子拓氏(史料編纂所)「武功書上・家譜と『地域的軍記』の成立―大坂の陣における佐竹氏の場合―」の3報告があり、近世武家社会におけるさまざまな「軍記」作成の実態が紹介されました。
 第2部では「合戦図の展開」として、韓国からお招きした金時徳氏(ソウル大学校)から「『絵本太閤記』の挿絵と朝鮮の絵画」が報告され、川合康氏(大阪大学)「山内俊綱の「討死」をめぐる諸問題―『平治物語』『平治物語絵巻』『平治合戦図屏風』との関連から―」、米田結華氏(金沢大学)「「大坂夏の陣図屏風」を読む-掠奪と殺戮の絵画世界-」と続き、後世に描かれた合戦にまつわる画像史料を読み解くための方法論が紹介されました。
 これらを受けて、第3部では「合戦のイメージ形成」として、6人の報告者を交えたパネルディスカッションが、井上泰至氏(防衛大学校)・山本聡美氏(共立女子大学)の司会により進められました。

 あいにくの寒空にもかかわらず、会場となった本学弥⽣講堂(⼀条ホール)には、大学院生ならびに外国人研究者を含めた約145人が来場しました。歴史学のほか日本文学や美術史学の研究者も多数参加され、学際的研究の方法をめぐって意見が交わされたのち、盛況のうちに閉会となりました。
 
研究報告をされる金時徳氏

関連書籍

東京大学史料編纂所『『大日本史料 第十編之二十九』』 (東京: 東京大学出版会(販売)、2017年) ISBN: 978-4-13-090479-7

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