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国宝豊臣秀吉の刀狩令および幕末の薩摩切子を完全復元 島津本家へ贈呈

掲載日:2019年1月24日

東京大学史料編纂所が所蔵する『島津家文書』は、旧薩摩藩主島津家に伝来した史料群で、15,000点余からなり、2002年に国宝に指定されました(文化遺産オンライン)。史料編纂所では、2015年度から、5ヶ年計画の「原本史料解析による複合的史料研究の創成事業」(国宝『島津家文書』の研究)プロジェクトを開始し、さまざまな分析・研究を行っています。その成果の一部として、豊臣秀吉の出したいわゆる「刀狩令」(同翻刻)の復元に成功しました。

「刀狩令」が書かれている用紙は、「大高檀紙」という特殊な高級紙です。今回、大高檀紙を料紙とする古文書が多数貼り継がれた「御文書」という巻物を、修理のために解体した段階で、これまでは不可能であった「大高檀紙」の成分分析を実現し、多くの知見を得ました。これらの成果に基づき、全く同じ材料・分量、製法によって、16世紀の「大高檀紙」を復元しました。さらに、史料編纂所史料保存技術室の技術職員が撮影した高精細の史料画像をもとに、微妙な諧調の再現が可能なコロタイプ印刷( (株)便利堂)によって、復元用紙に文書本文を印刷し、現物と寸分変わらない複製を完成させました。

また、「御文書」と名付けられた巻物の一部には、幕末の薩摩藩が作製したガラス(薩摩切子)の軸端が付されていますが、残念ながら、伝来の過程で紛失・破損したものも少なくありません。薩摩切子の製作技術を復興した株式会社島津興業(代表取締役社長:島津忠裕氏)の協力を得て、ガラスの軸端が複製されました。この復元した軸端を修復済みの巻子原本に取り付けるとともに、「刀狩令」の複製にも活用しました。こうして、①文書が発給された当時の状態(ウブ)と、②江戸時代に島津家で保管されていた時の状態(巻子装・切子軸端付き)の2種の複製品が出来上がりました。

そして今回、完成したレプリカを『島津家文書』の旧蔵者であり、東京大学と所縁のある島津本家に贈呈し、ふるさと鹿児島等での活用を図って頂くことになりました。併せて株式会社島津興業より、史料編纂所に対して奨学寄付金の贈呈が行われました。ここに篤く御礼申し上げます。

 

関係者記念撮影
 
   
史料編纂所長:保谷教授と島津興業社長:島津忠裕氏    復元された薩摩切子の軸端


復元された「刀狩令」

関連書籍

東京大学史料編纂所『大日本古文書 家わけ十六・島津家文書之一』 (東京大学出版会(販売)、1942/1952年) ISBN: 978-4-13-091141-2

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