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国際研究集会「日本中世史データベースの国際比較」を開催

掲載日:2021年6月17日

 2021年5月28日(金)、史料編纂所の主催する国際研究集会「日本中世史データベースの国際比較」を、ウェブ会議システムZoomを用いたオンラインにて開催いたしました。これは、ドイツのボン大学で取り組まれている「地頭データベース」を紹介し、日本側の研究者との意見交換を行なう場として開催したものです。

 現在、ボン大学では共同研究センター「文化比較で見た前近代史におけるその諸形態」が立ち上げられ、その一環として、デトレフ・タランチェフスキ氏を中心とした研究プロジェクト「中世日本における王権の委譲と分割による支配エリートの再生」が進められています。史料編纂所では、2018年3月に実施した国際研究集会「ドイツにおける日本中世史研究の現在」にて、同プロジェクトメンバーのクリスチャン・ヴェルナー氏とシモン・チェルカフスキ氏よりご報告をいただきました。今回は、シモン・チェルカフスキ氏(ボン大学研究員、史料編纂所外国人研究員)より、「ボン大学の地頭データベース―由来・現在状態・前途―」と題して報告をしていただき、同プロジェクトで構築を進めている「地頭データベース」の概要と、あわせてデータベースのデモ検索画面(図1)および実際に操作する様子(図2)が紹介されました。

 これを受け、日本側研究者から西田友広氏(東京大学史料編纂所・准教授)および田中大喜氏(国立歴史民俗博物館・准教授)のお二方よりコメントを頂戴しました。「地頭データベース」では、地頭の人名をもとに、典拠となる文書や記録などの史料類も表示される仕組みとなっていますが、今後の課題として、多様な史料上の人名表記にも対応させる必要性などが指摘されました。

 さらにプロソポグラフィの観点から「地頭」を選択した理由について、あらためてデトレフ・タランチェフスキ氏およびクリスチャン・ヴェルナー氏より説明がありました。これに対しては田中氏より、地頭に限定せずに、地頭の地域支配を支えた各地の沙汰人層や、地頭の地縁・血縁にも目を向ける余地があることが指摘されました。構築中の「地頭データベース」については、今後、データ量だけでなく機能面でも充実が図られる旨の説明があり、将来的な本格運用と公開に大きな期待が寄せられています。

 今回の集会は新型コロナウイルスの感染拡大に伴うオンライン開催となりましたが、当日は国内各地だけでなく、海外からの7名を含む66名が参加しました。国内各地と海外とをリアルタイムで結ぶことができるのがオンライン開催の大きな利点であり、その有用性を実感させるものとなりました。

 (図1)地頭データベース デモ検索画面


 (図2)地頭データベース 検索の様子

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