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「黄泉の国との契約書―東アジアの買地券―」(東大HMCと共催)を開催

掲載日:2022年9月30日

  2022年6月3日(金)東京大学ヒューマニティーズセンター第69回オープンセミナー「黄泉の国との契約書―東アジアの買地券―」を東京大学ヒューマニティーズセンター(HMC)・東京大学史料編纂所主催、JSPS科研費(22K00837)「東アジア墓葬文化の伝播と展開―金石文資料の形態的分析を中心に―」 (研究代表者:稲田奈津子)共催にて開催しました。本セミナーは、HMC公募研究(A)「金石文資料からみた東アジアの墓葬文化―墓誌・買地券を中心に―」の成果と課題を、一般の方々にもわかりやすく紹介すべく、オンライン(ZOOM)で開催したものです。当日は、日本各地および海外から118名の参加を得て、大変盛況なセミナーとなりました。

 第一報告の王海燕氏(東京大学史料編纂所 外国人研究員/浙江大学歴史系 教授)「中国の買地券―呉越地域の事例を中心に―」は、買地券の発祥の地である中国、そのなかでも出土例が多くメッカと言える呉越地域の事例を中心に紹介しつつ、買地券に記される内容や素材・形体、その時代的変化について論じたものです。最新の研究動向にも触れつつ、出土状況の特徴や墓誌との関係、買地券文化の伝播からみる人の移動や地域間交流、土地所有の問題など、様々な論点を提示する、示唆に富む報告となりました。


 第二報告の稲田奈津子「朝鮮と日本の買地券」は、朝鮮半島と日本列島で現在までに確認されている六事例のすべてについて、その概要を紹介するとともに、買地券文化が周辺諸国に伝播する経路とその限界について論じたものです。紹介した事例のなかには、今回の公募研究による実物調査・出土地踏査の成果、またCOVID-19のため実物調査は叶わなかったものの、所蔵館の協力により新たに入手した精細な画像を用いた検討の成果も含まれており、大変興味深い報告でした。

 
 その後行われた質疑応答では、墓地の相続権についての質問を糸口に、買地券と現実の土地所有権との関係について意見交換がなされました。事後アンケートからは、買地券という耳慣れないテーマであったが大変興味深かった、中国・朝鮮半島・日本にかかわる文化現象をその類似点や相違点とともに学ぶことができた、あまり知られていない中国の事例が多数紹介されて大いに啓発された、といった感想が寄せられました。

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