ワークショップ「17-18世紀のインド洋(パートII)」を開催
2022年6月24日、国際研究集会「17-18世紀のインド洋 ―日本をめぐる海域史研究の広がりのために―(パート2)」を東京大学史料編纂所共同利用共同研究拠点特定共同研究(海外史料領域)「本所所蔵在外日本関係史料の多角的利用のための翻訳研究」(モンスーン-II)主催・東京大学HMC、東京大学史料編纂所、維新史料研究国際ハブ拠点共催にて開催しました。2021年11月26日のパート1に続き、Zoomウェビナーによる完全オンライン、同時通訳付きで開催し、88名が参加しました。
パート1が、法や儀礼など、政治・社会的なテーマに光を当てたのに対し、パート2では船の動き、貿易、消費文化といった経済・社会的な側面を取り上げました。
松方冬子氏による趣旨説明・登壇者紹介につづき、大東敬典氏が“Rethinking the Dutch Decline in the Persian Gulf: An Analysis of VOC Shipping Lists”と題して報告を英語で行いました。大東報告は、サファヴィー朝衰退によりペルシア湾における砂糖貿易が衰退したとされていた従来の通説を批判し、オランダ東インド会社(VOC)文書「異国船リスト」の分析に基づいて、衰退したのはVOCであって、砂糖貿易ではないことを明らかにしました。それに対し、岡本真氏がコメント・話題提供を行い、日明貿易の研究においても史料を用いる際の注意点など、大東氏の研究との共通点を指摘しました。
休憩をはさんで、Martha Chaiklin氏が、 “Ivory in the Bay of Bengal”と題して、前近代から近代にかけてベンガル湾における象牙の生産と消費のあり方について包括的な展望を示し、それに対して櫻庭美咲氏が17~18世紀シナ海域における磁器の流通について、詳細な紹介を行いました。両氏の報告においては、豊富な図版が提示され、視覚的にも豊かな内容となりました。
最後に、Q&Aに寄せられた質問を司会のTravis Seifman氏が紹介し、登壇者が答える形で、総合討論が活発に行われました。