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京都府立京都学・歴彩館編『東寺百合文書』のフルテキスト化とDB公開

掲載日:2024年5月10日

このたび、京都府立京都学・歴彩館が編纂する『東寺百合文書』(思文閣出版刊行)をフルテキスト化し、東京大学史料編纂所の「古文書フルテキストデータベース」(以下「古文書FTDB」)にて既刊の15巻分すべてを公開することとなりました。これにより、既刊分の『東寺百合文書』を全文検索することが可能になりました。

「東寺百合文書(とうじひゃくごうもんじょ)」は、京都の教王護国寺(東寺)に伝来したおよそ2万5千通の古文書群で、現在は京都府立京都学・歴彩館が所蔵しています。特にもっとも充実しているのが14世紀から16世紀あたりの文書で、中世の政治・社会を考えるうえで欠かせない文書群です。その重要性から、1997年には国宝に、2015年にはユネスコの「世界の記憶」に登録されました。

「東寺百合文書」はおよそ百の函に分かれて収蔵されていることからその名があり、それらの函は、カタカナを冠する函とひらがなを冠する函に分かれます。2004年から、京都府立総合資料館(京都学・歴彩館の前身)では、「東寺百合文書」のカタカナ函を翻刻した史料集の『東寺百合文書』(思文閣出版)の刊行を開始し、2024年5月現在で第15巻まで出版されています。

一方、東京大学史料編纂所は長年にわたって「東寺百合文書」を調査・研究し、「東寺百合文書」のひらがな函を対象として『大日本古文書 東寺文書』の編纂・出版を行っており、京都学・歴彩館のご協力のもと、『東寺百合文書』と相補うように並行して事業を続けています。

さらに史料編纂所では、2019年度に日本学術振興会「人文学・社会科学データインフラストラクチャー構築推進事業」(JPJS00319217592)・2023年度からは「人文学・社会科学データインフラストラクチャー強化事業」(JPJS00320231001)の拠点に採択されたことを契機に、史料情報の共有・利活用促進を目的として、他機関との連携による史料の研究資源化に取り組んでおります。今回の『東寺百合文書』のフルテキスト化とデータベース公開も、京都学・歴彩館と思文閣出版のご了解を得たうえで、この事業の一環として行われました。

フルテキスト化した『東寺百合文書』は、史料編纂所が公開している「古文書FTDB」で検索することができます。2023年3月には先行して第1巻分(イ函、ロ函の一部)を公開しましたが、今回は既刊分すべてとなる第15巻(ヌ函の一部、ル函の一部)までを公開しました。キーワードを入力することで、文書内の全文が検索可能です。「検索対象史料」プルダウンから「東寺文書全史料」を選択することで、『大日本古文書 東寺文書』(ひらがな函)と『東寺百合文書』(カタカナ函)の既刊分をあわせて検索することができます。本データベースと、書籍の『東寺百合文書』や「東寺百合文書」の全点の画像をWeb公開する「東寺百合文書WEB」と併用することにより、「東寺百合文書」の活用の幅をさらに拡げることにつながると考えられます。

 

<古文書FTDB検索画面>

 

<『東寺百合文書』の検索結果イメージ>

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