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野の花はときに数年間眠り続ける 多年生植物の奇妙な生活史

掲載日:2018年10月23日

休眠の可能性を持っている植物種
休眠の可能性を持っている植物種
レブンアツモリソウは長い草本休眠の可能性を持っている種だと考えられている。
© 2018 Richard P. Shefferson.

植物の休眠に関する情報は、希少種や絶滅危惧種を対象とした長期研究によって得られます。少なくとも1年に1回は調査地を訪れ、個々の植物の位置を地図上に落とし、大きさや開花状況など記録します。現地調査では数年間地上に出てこない植物がありましたが、その後再び出現することを発見しました。 東京大学大学院総合文化研究科のRichard Shefferson(リチャード・シェファーソン)准教授らは、30年間連続で行われた最大規模の調査で世界中のデータを集め、8000個体以上をモニタリングし、休眠が24科114種の植物種に現れる世界的な現象であることを突き止めました。多くの場合休眠期間は1年間でしたが、20年近くにわたり休眠している例もありました。

なぜ植物が出現しない年があるのか。冬が十分寒くなかったため、春が来たことに気づかなかったのかもしれません。植物が長期間休眠をしつつ生き残るためには栄養源が必要です。ラン科植物に着目すると、土壌真菌から栄養を得ることで休眠に耐える性質が進化したことがうかがえます。オーストラリアに生息するある種のランはなんと地上に現れず、生涯にわたり地中で生活するのです。

この論文での注目すべき発見の一つめは、新芽を出す若芽を作るために、植物は多くの栄養源を投入するということです。干ばつや病気によって芽が消失した時は、良い時期が来るまで地中で休眠したほうがよいのかもしれません。二つめとして、Shefferson准教授らは成長期が短い寒冷な環境で休眠がより起こりやすいと考えていましたが、休眠は赤道付近でも頻繁に見られたということです。おそらく赤道付近の方が動物によって芽が食べられてしまう可能性が高いのでしょう。

野生の花には私たちの想像力を掻き立てる美しさと、それを超える興味深い特徴があるのです。この研究は国際的な共同研究で得られる科学の力と、世界中の研究者によって収集された多くの生態学的データを用いれば、自然界をより良く理解できることを示しています。

論文情報

Richard P. Shefferson, Tiiu Kull, Michael J. Hutchings, Marc-André Selosse, Hans Jacquemyn, Kimberly M. Kellett, Eric S. Menges, Richard B. Primack, Juha Tuomi, Kirsi Alahuhta, et al., "Drivers of vegetative dormancy across herbaceous perennial plant species," Ecology Letters: 2018年3月25日, doi:10.1111/ele.12940.
論文へのリンク (掲載誌別ウィンドウで開く)

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