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日本海の渦内部に爆弾低気圧の痕跡を発見 渦内で生き残る爆弾低気圧のエネルギー

掲載日:2019年12月17日

爆弾低気圧と渦のイメージ図
左図:爆弾低気圧がエネルギーを注入する日本海の渦の分布を赤色で示しています。右図:渦Aの内部で実際に観測された波です。エネルギーは、渦の中でより小さな波に分裂しながら消滅していきました。
© 2019 川口 悠介
 

東京大学大気海洋研究所の川口助教と水産研究・教育機構の合同研究グループは、日本海の佐渡島沖に現れた海洋の渦を調査し、秋に日本海上を通過した爆弾低気圧のエネルギーが渦の中に閉じ込められている事実を発見しました。

台風から海洋にもたらされる風のエネルギーは、海の中でどこに向かい、そしてどのように消えていくのか、これまでの研究ではよくわかっていませんでした。

今回の研究では、佐渡島の沖合域に水温・流速を測る計測器を1年間にわたり係留し、海の中にあらわれる台風の影響について調査を行いました。調査の結果、対馬暖流がピークになる秋に、佐渡島沖の前線はもっとも強く発達し、暖水をたくさん含んだ大きな渦が出現していました。渦の中を詳しく調べると、秋口に日本海を通過した爆弾低気圧のエネルギーが、長い時間、渦の中に閉じ込められている痕跡を発見しました。そして、渦に閉じ込められたエネルギーは、より小さな波に分裂しながら渦の中を伝わり、やがて、海水の粘性によって自然消滅することがわかりました。

今回の調査から、渦の近くでは、栄養分の高い海水が激しく湧き上がり、魚の餌となるプランクトンも増えると予想されるため、水産業にとっては重要です。今後は、台風や爆弾低気圧の後、渦の中で実際にプランクトンや魚の数が増えるかどうかを調べる予定です。

「日本海を通過する台風や爆弾低気圧のエネルギーはどこにいってしまうのか、長年の謎とされてきました」と川口助教は話します。「渦の中に爆弾低気圧のエネルギーが閉じ込められていたことに驚いています。渦は日本海全域のみならず地球上の海のあちこちに存在します。きっと同じメカニズムで、台風などのエネルギーを海が吸い取っているものと確信しています」と続けます。

論文情報

Yusuke Kawaguchi, Taku Wagawa, Yosuke Igeta, "Near-inertial internal waves and multiple-inertial oscillations trapped by negative vorticity anomaly in the central Sea of Japan," Progress in Oceanography: 2019年12月9日, doi:10.1016/j.pocean.2019.102240.
論文へのリンク (掲載誌別ウィンドウで開く)

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