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海洋生物研究で相模湾から世界へ 三崎臨海実験所に展示室を備えた教育棟が完成

掲載日:2020年8月14日

理学系附属臨海実験所教育棟1階に設置された展示室。実験所の134年の歴史を物語る資料が並ぶ

神奈川県三浦市の三崎臨海実験所で2020年8月7日、教育棟の完成披露式典が行われました。新棟は、三崎周辺の豊富な海洋生物を展示し、地元コミュニティや産業界との連携拠点となることが期待されています。

理学系研究科附属臨海実験所は、134年の歴史を誇る我が国最初の臨海実験所で、世界で最も歴史の古い実験所の一つです。新棟は、二つの歴史的建物の閉鎖・解体を受け建設されました。

旧水族館と記念館(旧本館)はそれぞれ1930年代に、「内田ゴシック」とも呼ばれる独特の美しい建築で知られ、東大総長も務めた内田祥三教授(1885-1972)が建築責任者を務める形で建てられました。

相模湾を見下ろす旧建物は長い間、臨海実験所の動物学、分類学、発生学や生理学といった分野での卓越した研究を象徴する存在でした。記念館は長年、東大の学生の実習の場として、そして国内外の研究者との共同研究の場として利用されてきました。一方、旧水族館は、1970年の閉館まで海洋生物の展示館として、多くの地元市民に愛されました。

教育棟の前で写真に納まる三浦市、京浜急行電鉄、京急油壷マリンパーク、ミキモトからの来賓と学内関係者

しかし、長年の利用により老朽化し、特に塩分を含んだ雨水による損傷が深刻化。修理不可能な危険建物と判断され、閉鎖を余儀なくされました。解体工事は2020年3月に完了しました。

今回完成した教育棟は、実験所のこのような伝統を引継ぎ、発展させることを目指して建てられたもの。「海のショーケース」と名づけられた1階の展示室では、旧建物で利用・保存されていた標本や物品を展示。展示室入口には、記念館で使われていたMMBS(臨海実験所の英文略称)と記された金属製の文字が移設されました。中に入ってすぐの場所に配置された説明パネルの枠には、旧水族館の水槽の一部がはめ込まれています。

展示室は5つのエリアに分けられ、来館者は実験所の歴史を順にたどることができます。展示物には実験所付近の地図や、水族館のチケット、また歴代の技術職員が採集した珍しい生物標本の数々が含まれます。中でも、天才的採集人として名を馳せた青木熊吉(1864-1940)が採集した、海綿の一種であるカイロウドウケツモドキは見もの。「熊さん」の愛称で知られた彼の仕事ぶりは、数えきれないほどの新種発見に繋がりました。

展示室には水槽コーナーがあり、生きた海洋生物を間近に見ることができます。また、実験所前所長の赤坂甲治名誉教授が開始し、現在実験所の技術職員が地元の高校等と連携を取りつつ進めている三浦真珠プロジェクトに関連した展示もあります。このプロジェクトは、真珠養殖を通じて海洋教育を普及させ、地元産業を活性化させることが狙いです。

新棟には、相模湾から採集された様々な海洋生物を飼育したり研究したりする水槽室や、外部研究員が使える研究室も整備されています。

完成披露記念式典では、実験所で収穫された養殖真珠を、神奈川県立横須賀工業高等学校の生徒が加工して作った真珠タイピンが、記念品として来賓に贈呈されました。 工事の経緯を説明した臨海実験所の岡良隆所長は、新棟を国内外の研究者や地元、そして産業界のパートナーとの連携の拠点にしたいと述べ、展示室の定期的な一般公開に向け準備を進めたいと話しました。

理学部出身で生物学が専門の福田裕穂理事・副学長は、実験所が海洋生物学の研究・教育の発展に一層貢献することを願うと述べました。

「海は生き物のゆりかごです。新たな命を育んで、多様な生き物を育てます。今回完成した教育棟では、このような海の神秘を明らかにして、世界へ海洋生物学への関心を広げていってほしい。そしていつの日か、この地を拠点としたノーベル賞学者がぜひ生まれてほしいと思っています」

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開館時には人気を博した水族館のチケットや旧建物の部屋看板を展示
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「宝の海」と呼ばれ世界的にも豊富な生物相を持つ三崎の海では、数多くの深海生物が発見されている
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展示室の一角に設けられた水槽コーナーで照明を受けて光るウニの標本

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