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宮崎 徹 教授による猫の腎臓病治療薬研究へのご寄付について

掲載日:2021年7月16日

宮崎徹教授による猫の腎臓病治療薬に関する研究へご支援を希望されるお問い合わせを多くいただいており誠にありがとうございます。

 ネコ並びにヒトAIMの創薬・実用化を最大限加速化することを目指し、宮崎徹教授が学外に新しい研究組織を立ち上げることとなりましたため、東京大学基金における宮崎徹教授の猫の腎臓病治療薬研究への寄付受付は2022年1月11日をもって終了させていただきました。詳細はこちらをご覧ください。

【宮崎徹教授メッセージ】
AIM研究を応援してくださる皆様へ
 
 7月11日にAIM研究に関する記事が時事通信社より配信されまして以来、大変多くの方々が、自主的に研究費のご寄付を東大基金宛にお送りいただいていることを知り、私自身大変驚くとともに、皆様のご温情に心から感謝申し上げている次第でございます。私は、これまで一般に向けた寄付の募集を致しておりませんでしたが、それは一般の方々にご迷惑をおかけしたくないこと、そしてそれ以上に、薬を作る研究は非常に長い時間がかかる上に、この日までに100%確実に完成できますとお約束できる類のものではないことから、薬の完成をお待ちいただく皆様にご心配と不安を与えかねないと考えていたからです。

    AIM製剤は、一般的な薬と異なり、タンパク質製剤ですので、科学合成で迅速に作れるものではなく、培養細胞にAIMを作らせて、大量の培養液の中にわずかに存在するAIMを純度高く精製する必要があります。その工程の研究開発が最も困難で時間もコストもかかる難所であるため、通常ここに何年も要してしまいます。それがようやく終わりますと、それまでに開発した研究結果をベースにして治験薬を製造します。これには何百、何千リッターにも及ぶ培養液から治験薬となるAIMを精製する、これもまた大変な工程です。そして、治験薬が準備できましたら、安全性や薬理作用など様々な試験とともに、数か月から中には動物薬でありましても数年にもおよぶ治験(臨床試験)を行います。そのデータをまとめて、薬としての認可を申請し、厳しい審査を経て承認されて初めて、皆様に使っていただけるようになります。

    このように、ひとつの薬、特にタンパク質製剤の開発にはとてつもない時間と労力、コストを必要とします。そして、通常これまでの動物薬は、すでに人間用の薬として使われているものを動物用に転用するケースがほとんどで、臨床試験以前の工程がほとんどスキップできますため、時間は大幅に短縮できましたが、AIM製剤の場合は、動物薬を先行し、ネコの腎不全のためにゼロから開発を行っています。さらに、タンパク質の動物薬は世界的にもほとんどない状況ですので、これまでも手探りの状態で開発を行ってまいりました。それでもたくさんの獣医の先生方を含む、色々な方面の方々の暖かいご支援とご協力のもと、(それでも数年をかけ)昨年の春先の段階で、治験薬製造のための開発をほぼ終了するところまで来ておりました。これからいよいよ次のステップにというところで、思いもよらないコロナの影響により、治験薬の製造の前で中断を余儀なくされているのが現状です。

    今回、皆様が自らのご意思で東大基金にご寄付をお寄せいただきましたことで、今の状況から一歩でも二歩でも進めて、一日も早くAIM製剤を完成して欲しいという皆様の熱意とご期待を改めて痛感いたしました。皆様のご厚意を無駄にすることがないよう、一日も早くAIM創薬を完成させ、皆様のお役にたつことができますよう、研究室一同、今まで以上に研究に尽力することをお約束いたします。これからもご支援のほど、宜しくお願い申し上げます。  

東京大学大学院・教授  宮崎 徹
 

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