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五神総長メッセージ ― 総長選考プロセスの検証結果を受けて ―

掲載日:2020年12月11日

総長選考プロセスの検証結果を受けて

【経緯】

2020年10月2日開催の総長選考会議で、藤井輝夫氏が東京大学の次期総長予定者に正式決定され、そのことは同日行われた記者会見において、小宮山宏総長選考会議議長から公表されました。その際に小宮山議長は、今回の総長選考のプロセスに関して、東京大学の部局長および元役員等から同議長宛に意見書や質問状等が寄せられたことを踏まえ、今回の総長選考手続きにおける問題点の有無について検証を行う旨の発言をされ、その後総長選考会議の議を踏まえ、10月8日に総長の私に対して、公正かつ中立的な立場の人々に検証を委嘱したいので、検証委員会の設置等について然るべき形で協力して欲しい旨の要請がありました。

私もこの検証作業は東京大学にとって極めて重要な意味があると考え、ただちに泉徳治弁護士(元最高裁判所裁判官)を委員長とし、5名の弁護士によって構成される検証委員会を立ち上げることといたしました。

検証委員会は、私を含む多くの関係者から聴き取り調査を行なうなど、丁寧な検証作業を行ったうえで、検証結果を本12月11日に報告書の形で私のもとに提出して下さいました。検証委員会の迅速な作業に対し、厚く御礼申し上げます。

受領した報告書は、ただちに教育研究評議会委員全員と経営協議会委員全員にメールでお送りしました。総長選考会議は教育研究評議会委員8名と経営協議会委員8名で構成されますので、総長選考会議委員全員に報告書が渡されたことになります。

さらに、10月9日付けの総長メッセージ「総長選考プロセスの検証について」でお約束したとおり、報告書の全文を東京大学のウェブ・サイトに公表し、東京大学の教職員・学生をはじめ、この問題に関心をお持ちの方たちにお読み頂くことにいたします。

【次期総長予定者について】

総長選考会議は、10月2日に東京大学の次期総長予定者として藤井輝夫氏を決定し、公表しております。検証委員会の報告書は、「藤井候補を次期総長予定者とする決定は、正当に成立し、全く問題のないものである」と述べています。これを踏まえ、引き続き、所定の手続きを遅滞なく進めてまいります。

【現総長の責任と今後の課題について】

総長選考会議の運営に混乱が生じ、東京大学のガバナンスに対する社会的信頼に負の影響を及ぼしたことは、まことに遺憾であり、東京大学の最高責任者として深く反省いたしております。

総長選考会議は、法制上、総長を解任する実質的な権限を有する中立性の高い機関であり、総長といえどもその運営に口を差し挟むことは適切ではありません。しかし、総長選考会議の組織構成等に改善すべき問題点が存在することは否定できない事実です。現に検証委員会は、その報告書の中で、幾つもの問題点を指摘した上で、見直しの方向性について、学内委員の在任期間、総長選考会議の運営、学内構成員に対する情報提供の改善、総長選考会議の事務局機能の強化という4項目からなる大変貴重な意見を付していただいています。残された任期中に、改善すべき点を可能な限り改めた上で退任することが、私が責任を果たす最善の方法と考えます。

もちろん、私の任期中に解決できない問題や、次期総長に委ねるのが適当な問題もあるでしょう。検証委員会の報告書を精査し、広く学内外の意見をお聞きしながら、如何なる問題を如何なる手順で検討すべきかを考え、私がやるべきことについては、遅滞なく対処していく所存です。

東京大学総長
五神 真

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