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東京フォーラム2023が11月30日、12月1日に開催

掲載日:2023年12月13日


「東京フォーラム2023」が11月30日(木)と12月1日(金)、東京大学と韓国の崔鍾賢学術院との共催で開かれ、「社会的分断とデジタル革新の時代における人間性の再興」をテーマに、示唆に富む活発な議論を展開しました。一般参加者が安田講堂で議論に耳を傾けたほか、世界各国からオンラインでの視聴がありました。

今回のフォーラムでは、地政学的な緊張の高まりにより加速する分断と争いの中でゆらぐ秩序や、人工知能(AI)をはじめとしたデジタル技術の進展により曖昧になる機械・技術と人間の境界が生む社会的課題を考えました。今、改めて「人間とは何か」という問いが切実になっています。

藤井輝夫総長は開会の挨拶で、このような波乱の時代における大学の役割に触れながら、本フォーラムの意義について語りました。「地政学や技術をめぐる状況がさらに複雑になる今、高等教育は(国際情勢や技術革新をめぐる)世界的な議論に積極的に関与、参加しなければなりません。大学は、行政や民間部門など社会のさまざまな部門からの知恵と見識を集結させる、中心的な役割を果たし続けなければならないのです。このミッションは、多様な分野の専門家が一堂に会し、協働することでのみ達成することができます」

東京フォーラムは、「Shaping the Future (未来を形作る)」を包括的なテーマとして、2019年から毎年、東京大学と韓国の崔鐘賢学術院との共催で開催されています。

チェ・テウォンSKグループ会長の開会の挨拶では、地政学的な緊張などで「世界的な単一市場の時代は、ほぼ終わりつつある」とし、米国、欧州連合(EU)、中国がそれぞれ基準やルールを作り、国際秩序を作り出そうとしているとの認識を示しました。その上で、「韓国と日本は強固な連合を組まなければなりません。半導体、電気自動車用バッテリー、再生可能エネルギーなど、両国の得意分野で協力する機は熟しているのです」と強調しました。両国が積極的に世界の市場に関与するのは、「経済成長に寄与するという意味だけではなく、まさに生き残りのため」とも言い切りました。

今回の基調演説は、タイ・チュラロンコン大学政治学部のスリチャイ・ワンゲオ名誉教授、カリフォルニア大学バークレー校心理学部のアリソン・ゴプニック卓越教授、東京大学の藤原帰一名誉教授の3氏が行いました。ワンゲオ名誉教授は、「仏教の精神をもとに、波乱の時代を乗り越え、人間の安全保障を担保する」というアジアのアプローチの一つを説明しました。ゴプニック卓越教授は、人工知能(AI)と子どもの学びについての比較研究の成果を紹介しました。また、藤原名誉教授は、ウクライナとガザ地域の情勢や、米中対立について解説しました。

その直後に行われた「プレナリートークセッション」(東京大学東洋文化研究所新世代アジア研究部門の佐藤仁教授が司会)に3氏が参加し、本年度のテーマについて、それぞれの専門の立場から意見を交わしました。

さらに、国際的に活躍するビジネスリーダーや起業家が日韓連携によるグローバル経済の新地平と次世代育成を議論する「ビジネスリーダーセッション」、デジタル革命の時代における大学の役割を考える「学長セッション」、日韓の学生がAIなどの技術革新、環境、少子化についての課題を若者の視点から論じる「ユースセッション」も開催。また、パネルディスカッションセッションが「ロボットが投げかける問い―人間性とは何か?」、「社会的分断への架橋:グローバルコモンズ保全と人間性の再興」の2つのテーマで展開され、議論を深めました。

2日間にわたる会議を締めくくる「未来を俯瞰する:社会的分断とデジタルトランスフォーメーションの中で」では、日韓の学生と藤井総長が対談を行いました。東大公共政策学連携研究部の鈴木一人教授が司会を務め、「人間性とは何か」などについても熱く語り合いました。

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