シリーズ「言語とアイデンティティ」 人種と言語的近代:「国語」の成立をめぐって

基本情報
区分 | 講演会等 |
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対象者 | 社会人・一般 / 在学生 / 留学生 / 卒業生 / 企業 / 大学生 / 教職員 |
開催日(開催期間) | 2022年11月18日 9時 — 10時30分 |
開催場所 | オンライン |
会場 | Zoom ウェビナー |
参加費 |
無料
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申込方法 | 要事前申込
https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_wZetdvXGTXiVSNrSWYwkBA |
申込受付期間 | 2022年11月4日 — 2022年11月18日 |
お問い合わせ先 | tokyo.college.event@tc.u-tokyo.ac.jp |
要旨
著書『言語、国家、人種』では、日本語が標準化され「国語」という概念が生まれた近代化初期の言語改革について議論したものです。 1800 年代半ばから後半にかけて、日本列島の住民の識字率は低く、書き言葉と話し言葉の間には大きな差があっただけではなく多くの方言が存在していることで基本的なコミュニケーションが妨げられていました。西洋の植民地化の脅威に直面した明治の知識人たちは、識字率を高め、西洋から輸入した知識をより迅速に広めるために、漢字の廃止、ローマ字表記への移行、国語としての英語の採用など、様々な改革を提案し、混沌を極めたものとなりました。この講義では、上田萬年の言語改革、特にその中での人種主義というイデオロギーに焦点を当て、これまでなされてきた研究を紹介します。明治は人種戦争の時代でした。人種の概念なしで帝国主義やナショナリズムを分析することはできません。したがって、言語改革の研究においても、人種という概念は不可欠なものと考えられます。
講演者プロフィール
上田敦子(プリンストン大学東アジア研究学科教授)プリンストン大学東アジア研究学教授。専門は近代日本文学と日本文化。主な研究は近代日本の文学史(明治日本の言語改革と「国語」の定義・戦後の文芸批評と戦争責任との関係などについて)。