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人文学にとっての熊野の可能性をめぐって―建築史家と美術史家が古道を歩く―

掲載日:2021年9月24日

基本情報

区分 講演会等
対象者 社会人・一般 / 在学生 / 受験生 / 留学生 / 卒業生 / 企業 / 高校生 / 大学生 / 教職員
開催日(開催期間) 2021年10月8日 17時30分 — 19時30分
開催場所 オンライン
参加費 無料
申込方法 要事前申込
こちらのページよりお申し込み下さい。
https://hmc.u-tokyo.ac.jp/ja/open-seminar/2021/44-kumano-art-architecture/
 
申込受付期間 2021年9月22日 — 2021年10月6日
お問い合わせ先 humanitiescenter.utokyo@gmail.com
HMCではフェローの先生方を中心に定期的にオープンセミナーを行い、研究成果を発信しております。
今回のテーマは、豊かな伝統・宗教文化を有する熊野地方の人文学にとっての可能性についてです。新宮・本宮・那智の熊野三山を擁する熊野の地は、古くからの神仏への信仰の場として知られ、国内外の人々を惹きつけています。院政期の度重なる熊野御幸を経て、室町時代には熊野を詣でる人々の様子が「蟻の熊野詣」と形容されるほどの人出を見ます。古来より老若男女を分け隔てなく受け入れてきた、常世に近いこの地は、人文学のほとんどの分野にとっても尽きせぬ可能性に溢れたフィールドです。熊野の持つ重層的な文化とその魅力を建築史と美術史を専門とする2人の研究者に語って頂きます。

松﨑照明先生は、日本建築史がご専門で、とりわけ修験道建築に通暁され、懸造研究の第一人者で昨年『山に立つ神と仏-柱立てと懸造の心性史』(講談社選書メチエ、2020)を上梓されました。ご自身も修験の道を修める行者、山伏でおられ、数多のフィールドワークに基づいて展開されたご研究についてお話し下さいます。秋山聰先生は、西洋中近世美術史がご専門で、主にデューラー研究(『デューラーと名声―芸術家のイメージ形成―』(中央公論美術出版、2001))や、キリスト教の聖遺物容器や聖遺物の公開行事についての研究(『聖遺物崇敬の心性史-西洋中世の聖性と造形』(講談社選書メチエ、2009/講談社学術文庫、2018))などで知られますが、近年は比較宗教美術史的観点からも研究を展開されています。今回も熊野を西欧の聖地と比較し、その差異やそれによって浮かび上がる特徴についてお話し頂きます。

[概要]
大学院人文社会系研究科・文学部では、今年3月22日和歌山県熊野地方の中核都市新宮市と連携協定を結ぶに到った。そのきっかけは2013年9月中旬、建築史家に誘われ美術史家が熊野古道における最難関、大雲取越を歩いたことにある。熊野を歩いた結果、連携協定がどのようなプロセスで結ばれるに到ったかを明らかにする。
聖地、霊地、霊場と呼ばれるような場所は、どのようなところに見出され、そこに作られる建築には、どのような特徴があるのか。日本の山岳信仰では、全国に作られた、床下の柱を長くのばして断崖に懸け作る懸造という建築形式がそれを示す。そこで行われたのは、多く潔斎と苦行だが、全国の懸造を調べ歩くと、地獄のように厳しい修行と特別な力の獲得、難行苦行と極楽往生の決定など、地獄極楽の両面をあわせ持っていることがわかる。その具体例を文化の重層する熊野三山から解き明かしてみよう。(松﨑照明)
西洋中近世美術を本来の専門としながら、近年、日本各地の聖地・霊場を廻ることが増えた。きっかけは、熊野古道の難所のひとつ「大雲取越」を歩いていた際の体験にある。台風が到来する薄暗い森の中、「円座石(わろうだいし)」と呼ばれる磐座を通りかかった際、突然、エルサレムのキリスト昇天教会にまつわる不思議な伝説を理解することができた(気がした)。この偶発的遭遇以降、異なる宗教文化・美術の比較をいろいろと試みることが一層の愉しみとなるに至った。その一端をお話ししたい。(秋山聰)
 
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