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第49回HMCオープンセミナー「右」も「左」もない言語と言語類型論

掲載日:2021年11月24日

基本情報

区分 講演会等
対象者 社会人・一般 / 在学生 / 受験生 / 留学生 / 卒業生 / 企業 / 高校生 / 大学生 / 教職員
開催日(開催期間) 2021年12月17日 17時30分 — 19時30分
開催場所 オンライン
参加費 無料
申込方法 要事前申込
こちらのページよりお申し込みください。https://hmc.u-tokyo.ac.jp/ja/open-seminar/2021/49-linguistic-typology-lamaholot/
申込受付期間 2021年11月24日 — 2021年12月15日
お問い合わせ先 東京大学ヒューマニティーズセンター humanitiescenter.utokyo@gmail.com
HMCではフェローの先生方を中心に定期的にオープンセミナーを行い、研究成果を発信しております。

 今回のテーマは言語学です。世界には6,000超の言語がありますが、多くの言語に共通する特徴が見出せる一方で、(見る側の主観からすれば)驚くような違いを持つ言語も存在します。なかには「右」や「左」といった単語を持たない言語もあり、インドネシア共和国のフローレス島(ティモール島の西北にあります)で話されている「ラマホロット語」が、まさにそのような言語です。
 このセミナーでは、そんな「右」や「左」を持たない言語において、どのように空間が言語で表現されているのか、またその背後に見える言語学的構造について、「言語類型論」という視座から、言語学がご専門の長屋尚典先生にお話を頂きます。ご関心ある皆様のご登録・ご参加をお待ちしております。

報告者:長屋 尚典(東京大学大学院人文社会系研究科 准教授)

【概要】
 世界には6,000を超える言語が存在しますが、その構造は言語ごとに大きく異なります。たとえば、「怪獣が (S) ビルを (O) 破壊した (V)」という内容を伝えるために、日本語のようにSOV語順をとる言語もあれば、英語のようにSVO語順をとる言語もあります。さらにVSO、VOS、OSV、OVSといった語順も存在します。ばらばらです。しかし、完全に不規則というわけでもありません。実はSOV言語とSVO言語だけで世界の言語の80%以上を占めており、人間の言語に「SがOに先行する」「VとOが隣接する」という傾向があることが分かります。このように世界の言語を幅広く観察することによって人間言語の特徴を解明する言語学の分野は言語類型論と呼ばれます。
 このオープンセミナーでは、そのような言語類型論の中でも空間参照枠の言語類型論に注目します。空間参照枠とは、ある物体の位置を物体とは別の参照物から記述しようとするときに用いる発想法のことを指します。たとえば「男」という物体の位置を「木」という参照物について表現しようとするとき、「男が (発話者からみて) 木の左に立っている」のように「右」や「左」を用いて表現することができます。この発話者からみた「右」や「左」という発想法を相対的空間参照枠といいます。
相対的空間参照枠は日本語や英語など我々のよく知っている言語で頻繁に用いられ、人間の言語に普遍的な現象であるように思われます。しかし、報告者が研究しているラマホロット語 (インドネシア共和国フローレス島の言語) では、この相対的空間参照枠を使うことができません。「右」や「左」を意味する単語もなければ、それを用いて表現する発想もありません。
 それでは、「右」も「左」もないラマホロット語ではどのように空間を表現するのでしょうか。今回のセミナーでは、言語類型論とラマホロット語を話す人々の暮らしも紹介しながら、この問題について考えてみたいと思います。
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