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HMC第52回オープンセミナー 『瑜伽師地論』の伝承について

掲載日:2022年1月11日

基本情報

区分 講演会等
対象者 社会人・一般 / 在学生 / 受験生 / 留学生 / 卒業生 / 企業 / 高校生 / 大学生 / 教職員
開催日(開催期間) 2022年1月28日 17時30分 — 19時30分
開催場所 オンライン
参加費 無料
申込方法 要事前申込
こちらのページよりお申し込みください。
https://hmc.u-tokyo.ac.jp/ja/open-seminar/2022/52-tradition-of-yugashijiron/
申込受付期間 2022年1月11日 — 2022年1月26日
お問い合わせ先 東京大学ヒューマニティーズセンター humanitiescenter.utokyo@gmail.com
HMCではフェローの先生方を中心に定期的にオープンセミナーを行い、研究成果を発信しております。今回は52回目のオープンセミナーとなります。

『瑜伽師地論』(ゆがしじろん)は、仏教の瑜伽行派(唯識学派)の思想をまとめた仏典です。同派は日本にも法相宗として伝来しました。同書は玄奘求法の第一の目的とも言われ、玄奘による漢訳の後、チベット語にも訳されますが、その作者については、マイトレーヤ(弥勒菩薩)である、あるいはアサンガ(無著)であるなどと、一定しません。今回は本学インド哲学仏教学研究室の高橋晃一先生をお迎えし、同書をめぐる伝承についてご考察頂きます。ご関心の方は、ぜひ1月26日(水)までにお申し込みください。

報告者:高橋 晃一(東京大学大学院人文社会系研究科 准教授)

概要

インドの大乗仏教には、中観派と瑜伽行派という2つの大きな学派がありました。このうち瑜伽行派は、外界の対象はすべて認識の表れに過ぎないと主張したため、唯識学派とも呼ばれます。その思想は中国を経て、法相宗として日本にも伝わっています。今回取り上げる『瑜伽師地論』は、この瑜伽行派の思想をまとめた浩瀚な典籍です。

瑜伽行派の成立は5世紀ごろまで遡ります。この学派の開祖は伝説上はマイトレーヤ、すなわち弥勒菩薩とされていますが、実質的な創始者はアサンガとヴァスバンドゥという兄弟で、この二人は日本では無著と世親として知られています。アサンガ、ヴァスバンドゥの最古の伝記である『婆藪槃豆法師伝』によれば、兄のアサンガはマイトレーヤから教えを受け、『瑜伽師地論』を伝授されたとされています。

時代は下って7世紀に、唐の玄奘は仏典を求めてインドに赴きます。『西遊記』のモデルとして知られる玄奘ですが、彼の一番の目的は『瑜伽師地論』のサンスクリット原典の入手にあったと言われています。玄奘は『瑜伽師地論』の翻訳に際し、その著者に関して「弥勒菩薩説」としています。一方、『瑜伽師地論』は8世紀から9世紀ごろにチベットにも伝わり、チベット語に翻訳されていますが、その際には著者はアサンガとされています。このように『瑜伽師地論』の作者に関しては伝承が一致していませんが、今日では、これは伝説の解釈の仕方に由来するものであり、実際はアサンガが、彼に先行する思想家によって語られていた教説を編纂し、『瑜伽師地論』としてまとめたと考えられています。

今回は『瑜伽師地論』の伝承をめぐって、これまでの学説を整理し、また新出のチベット語文献も参照しながら、マイトレーヤとアサンガに関する伝説について再考します。
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