ドミニク・チェン 様 | UTokyo D&I 応援メッセージ

― UTokyo D&Iキャンペーン2022 ―
ダイバーシティ&インクルージョン(以下「D&I」)推進を通じて、誰もが生き生きと活躍できる魅力あるインクルーシブキャンパスの実現を目指すため、東京大学では3月から「UTokyo D&I キャンペーン2022」を実施しています。本学のD&Iの取り組みにご賛同いただいた方から応援メッセージを頂きましたのでご紹介します。
応援メッセージ
わかりあえなさの包摂に向けて
早稲田大学文学学術院 教授 ドミニク・チェン 様
わたし自身は、ひとりの外国人として東大に留学していた時に、素晴らしい仲間や先生に出会えたことにとても感謝しています。他方で、自分たちが社会のナンバーワンであるという誤った思い込みに基づき、理解のできないものを否定する気風を在学中に感じることもありました。
世界を価値のあるものと価値のないものに分類することは、効率の良い生き方はもたらすでしょうが、実のところ知性の核心からは遠ざかる行為です。真の知性とは、互いのわかりあえなさから目を背けない勇気を抱くことから始まるものです。声なき声に耳を傾け、まだ社会で共有されていない価値を見つけ、フェアな視点に立って自らと世界の変化を厭わない姿勢こそが、研究者に求められる資質だと言えるでしょう。
ひとりの卒業生として、多様性の包摂を標榜するこれからの東大の教員と学生の一人ひとりが、自分とは異なる他者を自らの環世界の構成要素として歓迎し、ますます互いにエンパワーしあえるようになることを祈っています。