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コレラ毒素の侵入経路を突き止めろ! 細胞内物質運搬経路の詳細を解明

掲載日:2012年1月11日

私たちの体の中にある細胞は、細胞膜を通して多くの物質を取り入れています。さらに細胞内部には複数の細胞小器官があり、必要な場所に必要な物質を運ぶ細胞内運搬経路があります。

TEM image of Vibrio cholerae

コレラ菌の電子顕微鏡写真
Public Domain by Dartmouth Electron Microscope Facility

コレラ毒素などの毒性タンパク質は、この経路を乗っ取って細胞内部まで入り込み、最終的にサイトゾルという空間で毒性を発揮することが知られていました。しかし、どうやってサイトゾルまで到達するのか、詳細な経路はわかっていませんでした。

東京大学大学院薬学系研究科の田口友彦特任准教授と新井洋由教授らは、コレラ毒素の細胞内運搬経路と、その運搬経路を制御する分子を明らかにしました。

今回の研究により、コレラ毒素は、細胞内に侵入した後、リサイクリングエンドゾーム(REs)という小器官を経由していることが解明されました。そして、REs上に存在するホスファチジルセリンとエベクチン2タンパク質という二つの分子が、コレラ毒素の運搬を制御していることがわかりました。

コレラは非常に感染力が強く、現在でも多くの人の命を奪っています。コレラ毒素の運搬経路を知ることは、コレラの毒性発現を抑制するための有力なアプローチの一つとして、これまで興味が持たれていました。運搬経路の詳細を突き止めた今回の成果は、細胞内の運搬経路中でコレラ毒素を制御する、新しい治療に繋がります。

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論文情報

Yasunori Uchida, Junya Hasegawa, Daniel Chinnapen, Takao Inoue, Seiji Okazaki, Ryuichi Kato, Soichi Wakatsuki, Ryo Misaki, Masato Koike, Yasuo Uchiyama, Shun-ichiro Iemura, Tohru Natsume, Ryusuke Kuwahara, Takatoshi Nakagawa, Kiyotaka Nishikawa, Kojiro Mukai, Eiji Miyoshi, Naoyuki Taniguchi, David Sheff, Wayne I. Lencer, Tomohiko Taguchi, and Hiroyuki Arai
“Intracellular phosphatidylserine is essential for retrograde membrane traffic through endosomes” PNAS 108 (38): 15846-15851. doi: 10.1073/pnas.1109101108
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