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箱根駅伝直前/関東学生連合チームに入った2人の東大選手に聞く

掲載日:2025年12月26日

東大から東大への襷リレーが実現した、第101回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)から約1年。関東学生連合チームに再び2人の東大ランナーが選出されました。去年に続いてメンバー入りした秋吉拓真選手(工学部 4年)、そして初選出となった本多健亮選手(工学系研究科修士課程 M2)。区間エントリー10人の発表は12月29日です。1月2日、3日に行われる第102回箱根駅伝を前に、2人の選手に意気込みを聞きました(取材日:12月23日)。

 
陸上運動部のホーム、駒場第一グラウンドのトラックにて。

―― 箱根駅伝を狙い始めたのはいつ頃ですか?

本多:大学4年生ぐらいです。それまでは箱根駅伝を走るということに、競技力の面で現実味を感じられなかったのですが、4年の春に5000m14分16秒というタイムを出した時に、もう少し伸ばせば大学院で箱根行けるぞという気持ちになりました。そこから、「箱根を目指します」と公言するようになりました。

秋吉:自分は高校生の時に陸上を始めました。レベル的には箱根駅伝を走るような選手とは全然違いましたが、少しずつ成長する中で、このままいけば大学陸上最高峰の箱根駅伝を走れるんじゃないかと思いました。現実性はとりあえず置いといて、夢は大きく持ちたい、と目指してみようと思い始めました。中学・高校は兵庫県でしたが、箱根駅伝を走るなら関東に行かないといけないことが、東大を目指す大きな後押しになりました。

―― 本多さんは10月の予選会で63分58秒と健闘しましたね。

本多:もう少し伸ばしたかった気持ちはありますが、まずは学生連合に入ることを第一目標に考えていたので、そこは突破できたかなと思っています。予選会では、ゴールした直後くらいから、選出されるためには100位くらいまでに入ってないといけないと把握していました。平年だともう少し順位が上じゃないと入れないということがあり、今年は失敗したかと。その後、コーチの近藤秀一さんが「本多入ったぞ」とアナウンスをされて。驚きと、目指してきてよかったなという安堵の気持ちがすごく大きかったですね。

―― 3年生のときから急成長されたとのことですが、その理由は何だと思いますか?

本多:継続的に練習できたことに尽きると思います。走行距離を伸ばす努力もしてきました。地道な努力が実を結んだのかなと考えています。特別な努力というよりは、日々の陸上の練習を真摯にやる。その先に箱根があると考えてきました。

―― 予選会で秋吉さんは総合12位。去年の77位から飛躍しました。

秋吉:2年生の時は54位でした。去年の予選会は学生連合を狙ってより良い順位を狙って走りましたが、思うようなレースができず77位でした。そこから特に取り組みを変えたということはないのですが、本多さんも言うように、継続して練習をしてきた成果だと思います。3年間いろいろ経験し今年は箱根も走りました。少しずつ目指すところが高くなり、今までよりも一つ上のところで戦いたい、負けていた選手に勝ちたいという意識をもって取り組みました。今回もトップを取りたいというところを見据えてやってきたからこそ、結果がついてきたのかなと思います。

―― 6月のチーム編成ルール変更で出走の上限が1回から2回に変更され、秋吉さんは2回目の選出となりました。

秋吉:本当に幸運だと思っています。前回が最初で最後の箱根駅伝だと思って走りました。今年は4年生で最後です。タイミングとしてもすごくよかったと思っています。もう一回チャンスがあることが分かって、嬉しかったです。

本多健亮選手
本多健亮選手

―― 通常の練習に加えてラン通学をしているそうですね。

本多:大学4年生の時から継続しています。先輩がラン通学をしていたので、それを真似たのがきっかけです。荻窪に住んでいたので、本郷キャンパスまで片道約15km。今は駒場に住んでいるので片道10kmくらいです。往復とも走ったり、帰宅時のみだったりなど日によって違います。

秋吉:自分は本多さんの影響を受けて、家から本郷までの5km弱の行き帰りを走っています。以前、三鷹台に住んでいた時には本郷まで約18kmもあったので、帰宅時だけ走ることがありました。荷物を背負ってジョグすることに効果があるからというよりも、電車に乗って帰るのと少ししか変わらないんです。三鷹台時代は行き帰り両方走ると36kmくらいになり、オーバーワークになるので、片道だけ。多分推奨はされないと思います(笑)。

秋吉拓真選手
秋吉拓真選手

―― お互いをどんな選手だと思いますか?

秋吉:本多さんは、部内でも練習量が飛び抜けていて本当に走ることが好きなんだと思います。これだけストイックに練習量を積めるというところが強みの選手だと思います。帰宅ジョグも真似させてもらいましたが、陸上部に入った時から本当にいろいろと学ぶことが多い先輩です。

本多:秋吉はいつも元気で少年っぽさがあります。陸上に対してもまっすぐで、常に「きっちり取るぞ」という気持ちや、上を目指す心持ちがあります。去年秋吉が箱根に行くと公言して実際に走ったのを見て、そのように高い目標をもって陸上をできたらという気持ちが芽生えました。心境変化のきっかけをくれた後輩です。

―― 本選を走る10人に選出されたら、どう挑みたいですか?

本多:機会をいただいて走るということは、とても貴重なことです。そして、いろんな方がそこにリソースを割いてくださっています。それを無駄にしてはいけないという気持ちがあります。出場権をいただいたら最後まで全力で、自分の全てをぶつけるような走りをしたいと思います。走りたいのは10区です。ゴールテープを切りたいという気持ちと、アイコン的な絵になるシーンでもあるのでそこにいたいという気持ちです。それから例年、ゴール地点には陸上部の補助員がいるということもあります。粘り強い走りをしたいと思っています。いただいた機会を無駄にしない、苦しいときにあきらめないということを大事にしてきました。そこは最後までぶれずにいきたいです。

秋吉:自分は今年の箱根で8区を走り、区間7位でした。区間賞を取るつもりで走ったので、正直悔しいと思いました。今年もぶれずに区間賞を、区間新を取るつもりで走ります。学生連合チームは寄せ集めのチームとよく言われますが、自分個人の力でチームに入ったのではなく、一緒に練習してくれるチームメイトや支えてくれる多くの人がいるからこその選出です。そういう人たちに恩返しできるような、見ていて「面白い」と思ってもらえる走りをしたいです。「速い」ことが面白い走りなのではと思っています。周りの選手を速さで圧倒するような走りができたらいいなと思います。区間は1区に憧れがあります。一斉にスタートするので、頑張れば目立ちます。1区には歴代スター選手もいて、かっこいいと思っていました。ただ、どの区間であろうと任された場所で、区間新を取るつもりで行きたいです。しっかり早く入って、苦しくなってから粘り、ラストにもう1回スパートをかける。そこをしっかりやりたいと思います。実際は思うようにはいかないことも出てくるかもしれませんが、そこでしっかり集中して、自分の力を最大限発揮できたらと思います。

秋吉選手、八田先生、本多選手
前回大会で「給水おじさん」として名を馳せた八田秀雄先生の激励を受けた2選手。「普通は1年生の時から結構強いんですよ。秋吉は高校時代からかなり強かったです。でも本多ははっきり言って1年生の頃は印象に残っていません(笑)。だんだん名前を見かけるようになって、大学院になってこんなに伸びた。こんな選手は本当にいなかったと思います」(八田)

―― 現時点での仕上がり具合はどうですか?

本多:練習は順調にできています。本番を走ることになったら、力どおりの走りができると思っています。

秋吉:11月の中旬に肺炎になってしまい1週間くらい走れませんでした。調子を戻していくなかで試合に出ましたが、なかなかうまくいかないこともありました。でも、今は予選会前の状態くらいには戻っていると感じます。日に日に状態がよくなっているので、本番では予選会よりもいい状態で、万全の状態で走れると思っています。

―― 沿道では何と応援すればいいでしょう?

秋吉:「秋吉、頑張れ」と名前で呼んでいただくほうが、ただ「頑張れ」と言われるよりもより力がでます。応援の声を聞くと気分が上がり、その瞬間、キツさも忘れられます。顔の認識は難しいのですが、名前は聞こえます。のぼりなども、東大の水色が見えると「関係者がいるな」と分かります。

本多:下の名前は言いにくいかなと思うので、「本多」で応援していただければと思います。

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